日韓GSOMIA電撃破棄も、日本側のデメリットはほぼなし!?
逆ギレした「煽りドライバー」が、怒りに我を忘れて拳をり回す……そんな、悪態をつけられているような気になる。
8月22日、韓国大統領府(青瓦台)は、日韓で防衛秘密を共有する「日韓軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)の一方的破棄を決定した。青瓦台の国家安全保障室によると、日本が28日から施行する「輸出管理の厳格化」(「ホワイト国」からの除外)に対する「報復措置」としており、これにより、日米韓3か国が互いに得た軍事情報を迅速に共有することは困難になる。
中国の海洋進出が加速し、北朝鮮による弾道ミサイルの発射が相次ぐなか、北東アジアにさらなる不安定化をもたらすのは必至だ。慰安婦支援財団の解散に始まり、火器管制レーダーの照射問題、元徴用工訴訟判決への対応、さらには、韓国国会議長・文喜相氏による天皇陛下への謝罪要求発言……と、これまで韓国は再三にわたって理不尽な挑発行為を繰り返してきたが、今回、GSOMIAを破棄したことで、日韓の亀裂は修復困難なところまで深まったと言っていいだろう。
決定が出される前日まで、韓国メディアの多くが協定は「延長」されると見ていたが、なぜ、直前になって事態は急転したのか? 元海将で、金沢工業大学虎ノ門大学院教授の伊藤俊幸氏が話す。
「国防部長官や国家情報院長など、韓国軍幹部はGSOMIAの重要性を十分認識しており、『延長』を強く主張していました。それが、8月22日に開かれた国家安全保障会議(NSC)で一転、破棄となったのは、青瓦台の意向が強く働いたからにほかならない。昨年9月に、軍の情報機関である国軍機務司令部が『積弊精算』(過去の政権の弊害除去)を理由に潰され、新たに軍事安保支援司令部が新設されたが、これを機に、軍を従わせようとする文在寅大統領の“専横”が始まりました。
韓国で行われた国際観艦式で自衛隊の『旭日旗』が掲揚を拒否された騒動や火器管制レーダーの照射事件のとき、韓国側が支離滅裂な弁明に終始していたことからもわかるように、軍幹部が蚊帳の外に追いやられコミットできなくなっている……」
韓国がGSOMIAの破棄を日本側に通告した直後、さらに揺さぶりをかけるかのように、北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射した。7月25日以降、わずか1か月の間に7回もの発射が確認されているが、朝鮮半島の緊張が高まるなか、今回の韓国の決定が日本に与える影響はどれほどのものなのか? 伊藤氏が続ける。
「結論から言えば、GSOMIAを破棄されても日本側にデメリットはほとんどない。北の短距離弾道ミサイルは射程距離からも明らかなように、韓国を標的にしている。日本が韓国から得られる主な情報は『発射地点』や『発射の兆候』といったヒューミント(スパイや諜報機関による人的情報)に限られるが、こうした情報は韓国に頼らずとも入手できます。一方の韓国はどうか? 北のミサイルはロシア製イスカンデルをモデルにしており、複雑な軌道で飛ぶので、どこに落ちるかという情報は韓国軍にとっては死活問題になる。
ところが、GSOMIAで共有される着弾情報は、北朝鮮が射場にしている日本海を領海に持つ日本が収集しているのです。16日に発射された北のミサイルについて、韓国国防部は『(GSOMIAを通じて得た)日本の情報により正確な飛距離が判明した』と訂正を出しているのですが、これは韓国情報関係者のリークと見るべき。日本と米国に『GSOMIAは延長すべき』というシグナルを発したかったのでしょう……」

日本への影響は少ない一方、韓国は「死活問題」に

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