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消費税10%で、家計の負担は2兆円増。景気壊滅の最悪シナリオ

企業業績が落ち込めば給与もカット

 続けて、「今からでも増税を延期すべき」と話す藤井氏。というのも、この10月は最悪のタイミングなのだ。 「働き方改革で労働時間の短縮を図っているため、賃金は減少傾向にあります。9月6日に発表された7月の実質賃金はボーナス減少の影響もあって前年同月比0.9%減でした。残業規制で今後、国民の所得が8.5兆円も減少すると試算しているシンクタンクもあるのです。さらに、来年の東京五輪を控えて建設需要はすでにピークアウト。ここに米中貿易戦争や欧州の景気減速も重なってきており、日本は増税を加えた“四重の危機”に瀕している。  このような経済状況は、消費税が3%から5%に引き上げられ、アジア通貨危機が起こり、山一證券破綻で金融不安が生じた’97年と似ています。’97年の増税後に年間の自殺者が2万2000人から3万3000人に急増したことを考えると、来年以降の日本がどれだけ悲惨な状況になるのか……。今回の増税で日本が“転落途上国”になるのは間違いないでしょう」  もちろん、景気が冷え込めば企業活動も停滞。“消費増税倒産”に見舞われる企業が急増する可能性も高い。東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏が話す。 「東証1部、2部上場メーカーの6割が’20年3月期の想定為替レートを1ドル=110円に設定しています。なかには113円に設定している企業もある。直近の為替レートが106円台で推移していることを考えれば、業績見通しを大幅に引き下げる企業が相次ぐのは間違いありません。’14年の増税時はアベノミクス相場の真っただ中で円安が進んでいたため、輸出の伸びが経済を下支えしていましたが、今回は輸出効果がまったく期待できないのです。  一方で地方の中規模小売店などは資本金を5000万円以下に減資して中小企業化し、キャッシュレス・消費者還元事業の適用を受けるなど、必死に生き残り策を模索していますが、消費の落ち込みは避けられそうにありません。今と経済状況が似ていた97年4月の増税時に倒産件数が約20%も増加したことを考えると、来年以降、同じように倒産企業が急増する可能性があります」

車や家電の値下げセールに期待

 企業業績が落ち込めば、給与カットも避けられまい。おのずと我々にできることは限られてくるという。 「さらに景気を冷え込ませることになってしまいますが……支出を絞って当座をしのぐほかないでしょう。’14年の増税時には消費が冷え込んだ増税後に値下げセールが相次ぎ、家電や車が安く買えるという現象が見られました。特に家電は10月に新モデルが投入される傾向にあるため、今年の年末商戦で型落ち商品を狙ったほうがお得でしょう」(永濱氏)  あとは「来るべき衆院選で減税を訴える党を応援する」(藤井氏)という案も寄せられたが、即効性は望めまい。複雑な軽減税率で事業者側の混乱も必至。心して消費税10%ショックに備えるべし! 軽減税率8%が適用される商品は?取材・文/週刊SPA!編集部 写真/産経新聞社 ※週刊SPA!9月10日発売号「今週の顔」より
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週刊SPA!9/17・24合併号(9/10発売)

表紙の人/宇垣美里

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