ドラッグストア業界の裏側。マツキヨ合併、生き残れるのは3~4社か
マツモトキヨシとココカラファインの経営統合を巡って、ドラッグストア業界は激動の時代を迎えようとしている。仮に実現すれば、業界全体にどのような影響が生じるのだろうか。
先月22日、ドラッグストア大手のマツモトキヨシHDとココカラファインの両首脳が都内で記者会見を開き、経営統合に向けて交渉入りしたことを発表した。’20年1月末を目処に統合交渉の結論を出す予定となっており、業界4位のマツキヨHDと同7位のココカラファインの統合がもし実現すれば、業界トップに躍り出ることになる。
ドラッグストアや調剤薬局のM&Aに詳しいMACアドバイザリー代表の花木聡氏は、両社の今回の動きをこう解説する。
「ドラッグストア業界は、市場のほぼ9割が上位20社で占められる寡占状態にあります。ここ数年、業界大手同士のM&Aがなかったため、今回マツキヨとココカラが手を組もうとしているのは業界内でも大ニュース。この統合がきっかけで、さらなる業界再編が起こり、将来的には3~4社に絞られる可能性も秘めています」
’19年3月期のマツキヨHDの売上高は5759億円、店舗数は1654店舗。一方、ココカラファインの’19年3月期の売上高は4005億円、店舗数は1354店舗。この2社がタッグを組めば約1兆円規模の企業が誕生することになり、全国に約3000店舗を抱えるメガドラッグストアチェーンが出現するインパクトは、業界的に極めて大きいのだ。
ただし、ここに至るまでには、紆余曲折があった。4月26日、マツキヨHDとココカラファインは、資本業務提携に向けて検討および協議を開始すると発表。しかし、約1か月後の6月1日には、業界6位のスギHDがこの両社の間に割って入った。マツキヨHDよりさらに踏み込む形で、ココカラファインとの経営統合に向けた協議に入っていることを公表したのだ。
もちろん、スギHDの動きを受けたマツキヨHDも黙ってはいない。6月5日、ココカラファインと経営統合に関する話し合いを進めると発表し、“ココカラ争奪戦”に不退転の決意を表明。そしてようやく今月、冒頭の会見にこぎ着けたというわけだ。
両社から求愛された形のココカラファインはスギHDではなく、マツキヨHDと手を組んだ。その決め手を、花木氏はこう分析する。
「マツキヨの強さは、医薬品、化粧品、食品など多岐にわたるプライベートブランド(PB)商品。全体売り上げの10%を占めている強い武器がココカラでも出せるとなると、かなりのシナジーが期待できると踏んだのでしょう。また、関東・中部・関西のみに出店しているスギと違い、ココカラとマツキヨはお互い数々のM&Aを繰り返して全国展開してきた経緯もあり、出店戦略が似ていることで物流の効率化や統廃合などによる相乗効果もかなり大きかったと考えられます」
だがここで疑問が浮かぶ。ドラッグストア業界4位と7位の会社が、再編に向けて躍起になったのはなぜなのか。彼らの背中を押したのは特殊な利益構造と薬価の引き下げにあった。
マツキヨとココカラファインが合併して再編が加速中
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