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三足のわらじをはく副業リーマンも。効率よく稼ぐ秘訣は?

「週10時間の作業で2曲」「ライブはコスパが悪い」

 音楽活動は趣味も兼ねており、稼ぎとしては月に数万円程度とのことだが、その活動の中身は独特だ。 「音楽制作の作業時間は週10時間、1曲5時間で週2曲つくると決めています。僕がやっている音楽はジャンル的にも1万枚とかの大ヒットをつくれる世界ではないので、とりあえず数でいこうと。リリースに至らなかった曲は、著作権フリーの音源を集めた『Audiostock』などに少し編集を加えて登録・販売しています。フリー素材ってイラストや画像が有名ですが、最近は音楽や映像でも増えていて。同様の海外サービスなども活用すると、制作にかけた労力を回収しやすいです」

パソコンのみで作業が完結できるデスクトップミュージック(DTM)制作は副業としての可能性も秘めている

 プロモーションも基本的にSNSで展開しており、所有するSNSアカウントは20を超えるという。 「日本と違い、ヨーロッパ圏などではそれなりにメジャーなジャンルなのでFacebookと相性がよく、ファンがよく集まるSNSコミュニティにリリース情報や曲を投下すると聴いてもらいやすい。曲を気に入ってもらえればシェアしてくれますし、有名なDJがラジオで流してくれたり、Spotifyのプレイリストに入れてくれたりするとグッと伸びます。  SNSはタダでできるプロモーションなので、みんなもっと活用すればいいと思いますが、日本人は消極的な気がしますね。僕も英語に明るいわけではないんですが、そもそも音楽の世界は多言語なので日々様々な言語で感想や問い合わせがくるし、Google翻訳とかに頼ればFacebookメッセンジャーのやりとりくらいなら問題ありません」  音楽の場合、多くの人に聴いてもらえるかどうかは当然センスなども問われるだろうが、少なくとも言語の壁などを感じることはあまりないようだ。高橋さんは昨年レーベルも立ち上げ、ほかのアーティストの作品もすでに5枚リリース。年内にはCDとレコードも出す予定だとか。 「取り分としては、販売代理店さんへの手数料を抜いた利益をアーティストと50%ずつ折半しています。契約の細かいニュアンスの部分とかで、グーグル翻訳の限界も感じて、そこは少し苦労しましたが。レーベルをやっていると世界中からいろんな音源が送られてくるので面白いです」  ちなみに学生時代はDJやバンド活動もしていたそうだが、リアル音楽イベントは「コスパが悪い」らしく、今はほとんどやらないとのこと。 「僕のようにパラレルで動いているととにかく時間が貴重です。イベントをやると、拘束時間やスケジュールの調整も増えてしまいますから。今のような音楽を本格的に始めて5年くらいですが、基本、常に曲を作りながら広告の管理画面を見ているという感じで、DTMはパソコンさえあればどこでも作業できます。デジタルな音楽をやっているのは、もちろん好きというのもあるんですが、パソコンだけで活動を完結できるように戦略を考えた部分もあります」  仮想通貨やFXなども興味半分で手を出してはいるが、「基本的には手を動かして制作するのが好き」という高橋さん。広告代理業での仕事も自身のアーティストとしての強みになっていると語る。 「SNSでどう展開してフォロワーを増やしていくか、広告代理業のクライアントさんから相談されることもありますが、動画やバナーをつくるために培ったiMovieやPhotoshopのスキルもMVやジャケット制作など音楽で活かせます。人に本業を聞かれて本当に言いたいのはやはり音楽なので、基本的にはアーティスト活動を軸に、音楽を続けるためのスキルを仕事の中で磨いていきたいです」  会社勤めをしながら副業を続けるためには本業、あるいは私生活の趣味や楽しみと、いかに紐づけて相乗効果を生み出せるかが大きなポイントとなるようだ。 <取材・文/伊藤綾 取材協力/副業アカデミー>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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