中国の偽ビームス 店内は偽モンクレールだらけ
偽アップルストアから偽IKEAまで、欧米有名ブランドのパクリ店舗が続出している中国で、なんと日本の人気セレクトショップ、BEAMS(ビームス)のパクリと思しきショップを発見した! 早速、潜入取材を敢行したのだが……。
様々な山寨(パチモン)ガジェットがあふれる広東省最大の電気街・深セン市内にある華強北路から、四川料理店が軒を連ねる脇道へと入ると、カオスな周囲とは似つかわしくないレンガ造り風の外観の、やけに洒脱な店舗が目に留まる。
「BEANS」
その壁面には、BEAMSのロゴと同じ白抜きで、字体もそっくりにそう書かれているではないか……。 同じく壁面には、本家BEAMSにはないトレードマークが掲げられていたが、よく見るとそれは、「豆」という文字をモチーフにしたものだった。
店内へと足を踏み入れると、女性店員が「歓迎光臨~(いらっしゃいませ)」と話しかけてきた。そこで、早速彼女にBEANSについて尋ねてみた。すると彼女はこう言ったのだった。
「BEANSは日本から来たブランドですよ」
記者は「そんなブランド知らねえけど……」と心の中で呟きながら、彼女に聞き込み取材を続けたところ、「深セン市内に12店舗を展開」「商品の大半は日本と韓国からの輸入品」とのことだった。もはやBEANSは、地元では日系セレクトショップとして確たる地位を確立しているようなのだ。 確かに店内を見渡してみても、原宿や下北沢あたりの古着店を意識したようなシャレオツな雰囲気で、中国のそのへんのショップとは一線を画している。
⇒店内の様子はこちら https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=162979
中国には、商品をラックに雑然と平積みしただけのようなショップも多いなか、ここBEANSでは「ディスプレイ」と呼べるレベルで商品が陳列されている。商品自体も、日本でも問題なく着られそうなデザインのものも多く、おしゃれレベルはなかなか高い。また店内には、オリジナルカタログも置かれていたが、白人モデルを起用した、かなりしっかりとしたものだった。
そこはかとなく漂うBEAMSへのオマージュを感じながら、二階へと続く階段を上がる。するとそこには、高級ダウンジャケット、モンクレールがずらりと並んでいたのだった。
さらに注目すべきはその価格。値札には1156元(約1万5000円)と書かれてある。日本で購入すれば10万円以上はするモンクレール製品がこの価格で購入できるとあって、記者は思わず取材を忘れ、試着してみることに。ところが手に取ってみると、ダウンジャケットにしてはやたらと重量感がある。さらに、中綿の手触りもまるで古びた座布団のような固さ。完全な偽物である。 脱力感に苛まれた記者の横顔を、安物のダッチワイフのような表情のマネキンだけが見つめていた……。
【取材・文・写真/ドラゴンガジェット編集部】
ガジェット好きのライターや編集者、中国在住のジャーナリストが中心メンバーとなり、2012年1月から活動を開始。東京と深セン、広州を拠点に、最新の話題をお届けする。
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