更新日:2015年02月23日 16:24
エンタメ

東映ヤクザ映画は「愛らしさ」にこそ真髄がある!――対談・杉作J太郎×春日太一

 菅原文太や高倉健が亡くなったことで再上映されることもあるヤクザ映画だが、実は絶滅の危機にあるという。東映ヤクザ映画を愛してやまない杉作J太郎氏と、『あかんやつら』で東映京都撮影所のブッ飛びぶりを描いた映画史・時代劇研究家の春日太一氏が、東映ヤクザ映画の魅力を語り尽くす! <対談>杉作J太郎×春日太一が保護を訴える!東映ヤクザ映画とその愛らしさ
杉作J太郎

杉作J太郎

杉作:健さん、文太さんの追悼特集が多く組まれてますが、この火を絶やしちゃいけない。鶴田浩二さんの時は、他界後すぐにレンタル屋から作品が消されましたから。 春日:誤解が多すぎますよね。『県警対組織暴力』(’75年)だって題名は確かに怖いけど、実は笑える場面も多いのに。構えないで気軽に楽しんでほしいんですよ。寅さんファミリーのように網走番外地ファミリーを楽しむ人も多かったわけで。 杉作:柴又に帰るか、網走に収監されるかだけの違いですからね。でも怖そうなイメージを払拭するなら、ヤクザや任侠というジャンル名は変えるべきかもしれません。
春日太一氏

春日太一氏が東映ヤクザ映画の面白さをより深く知るきっかけは、杉作氏の著書『ボンクラ映画魂―三角マークの男優たち』だったそう

春日:ひらがなで「にんきょう」にしましょうか(笑)。どうしても「健さんの男気」「文太さんの野性味」とかに流れがちですが、注目されるべきは由利徹とかの存在もそう。昔のヤクザ映画は喜劇人が出て和ませることで間口を広くしていたんです。 杉作:確かに田中邦衛みたいな人も今はいない。秋元康さんも女のコより新時代の田中邦衛を探すべきですよ! でも最近は、そういう存在をノイズのように扱うアマチュアの批評家が多いんですよ。 春日:「作品の世界観が壊れる」みたいに言う人ですね。『網走番外地』で健さんが刑務所を出たり入ったり、終身刑の鬼寅親分がシャバに出たりしているアバウトさも良かった(笑)。『仁義なき戦い』も松方弘樹が蘇り、室田日出男が織本順吉に変わりますから、アバウトな目で見てほしいわけです。 ⇒【後編】『東映ヤクザ映画は殺伐とした日本社会を穏やかにする!』に続く https://nikkan-spa.jp/777362 ― 俺の中では重要文化財 オレスコ世界遺産【9】 ―
県警対組織暴力

警察の権力に癒着する組織と、甘い汁を吸おうとする腐敗した警察。菅原文太主演×深作欣二監督×笠原和夫脚本で放つ強烈な傑作バイオレンス

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