『ポケモンGO』は「GOバトルリーグ」実装でeスポーツになれるのか?
一足先に実装されている『ポケモンGO』のトレーナーバトルは、3匹のポケモンを選んで戦わせるルール。タップで技を繰り出し、ゲージがたまったら強力な「スペシャルアタック」を発動して相手3匹のポケモンのHPをすべて0にしたら勝ち。本家のコマンド式バトルとは異なり、アクション要素があってスピーディな判断が求められます。ただし、オンライン対戦は「親友」以上のフレンドのみと限定されていたため、対人戦が盛り上がっている状況ではありませんでした。
今回の「GOバトルリーグ」はオンラインのランダムマッチングで世界中のトレーナーと対戦できるのが目玉。参加できるポケモンの「CP(ポケモンの強さを表すポイント)」の上限値が異なる「スーパーリーグ(CP1500以下)」「ハイパーリーグ(CP2500以下)」「マスターリーグ(無制限)」の3種類の公式リーグが順番に開催されます。
公式リーグでの勝ち数に応じてランクが上昇する仕組み(ランクは1~10まででシーズン中の降格はなし)。連勝すれば報酬がより良くなり、そのなかにはレアなポケモンも存在します(5連勝まで)。最高ランク10に到達したあとは最強を目指してレーティングを上げることに。
毎日3km歩くと挑戦権が5バトル分得られます。ゲーム内通貨を払って挑戦権を買う「今すぐバトル」や、勝利報酬を豪華にできる「プレミアムバトルパス」(およそ100円)といった課金要素も増えました。
上位陣の実力はレーティングで証明されるため、必然的にトップ集団の戦いはeスポーツのプロレベルへ近づいていくでしょう。ゆくゆくはゲーム実況動画チャンネルでの配信や大規模な世界大会の開催も行われるはず。
とはいえ、特に日本では『ポケモンGO』はシニア層に支えられており、対人戦に興味がないという人が多いのが現状です。歩いてポケモンを集めたい層がマジョリティであるため、そうしたプレイヤーを「GOバトルリーグ」に振り向かせるのは厳しいかもしれません。
また、対戦用ポケモンの育成には貴重なゲーム内資源「ほしのすな」や「ふしぎなアメ」、「わざマシン」を大量に投入することが求められ、ライト層が「GOバトルリーグ」のランクをスムーズに上げるのは恐らく困難だと考えられます。そうした課金への反発が出てくる可能性もあります。
『ポケモンGO』自体、昨年は過去最高売上を記録したとはいえ、日本ではTSUTAYAやイオンなどスポンサーの撤退・一部撤退が続いています。運営元のナイアンティックは昨年1月に2.45億ドルを調達し、その出資者のなかには米の有力eスポーツ企業「アクシオマティック・ゲーミング」が含まれていたという事情もあり、新たな収益源として今後『ポケモンGO』がeスポーツへ注力する可能性は高そうです。
もともと対戦ゲームではなく位置情報ゲームとしてスタートしている『ポケモンGO』の「GOバトルリーグ」がどこまで浸透するかは、今後のeスポーツの発展にも関わる重要な試金石と言えるのではないでしょうか。
―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も 1
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