更新日:2023年05月23日 17:27
仕事

中年男がバイトマッチングで見つけた仕事に挑戦。社員たちのドタバタ劇に巻き込まれ…

 スキマ時間を有効活用したい、履歴書を書いたり面接をしたりする煩わしさをスキップしたい人向けに、単発で仕事を探せるバイトマッチングアプリが人気の昨今。しかし、アルバイトといえどいきなり行って仕事などこなせるものなのだろうか。また、おじさんが現場で若者に虐げられるようなことはないのか?  実際にアルバイトマッチングアプリに登録。募集のかかっているアルバイトの中から、中年記者が業務をしてみることにした。

緊張しながら出勤…

 筆者が使用したマッチングアプリで仕事を見つけるには、まずはスマホにアプリをDL、そこに自身の情報を入力。免許証などの本人確認書類の登録が必要な場合もある。ただしこれらはアプリ利用初回だけであるため、2回目からは不要だ。あとは働きたい日時や地域、職種から希望のアルバイト先を選ぶ。個人情報の登録を行わない2回目以降の利用であれば、早ければ1分程度で仕事が決まる。慣れていないと、本当にこれだけで大丈夫なのか不安になるくらい簡単なので、利用者が多いのもうなずける。
デリバリー

※写真はイメージです

 契約の関係で社名は伏せるが、応募したのは某デリバリーサービスのアルバイト。昨今、都市部のファミリーレストランやファストフードでは、配達を自店舗の人員ではなくこうしたデリバリーサービスに委託していることが多い。アルバイトでたった4時間とはいえ、初めての仕事に緊張しながら集合場所に入る。そこには、原付バイクが17台おかれていて、アルバイトの配達員らしき人たちが集まっていた。  その輪の中心には彼らに指示を出す男性の姿。この人がこのエリア唯一の社員のようだ。勝手のわからない筆者はその社員に「お疲れ様です。◯◯(マッチングアプリ名)で応募した者です。よろしくお願いします」と挨拶、邪魔にならないように隅っこに立って待つことにした。勤務開始の10分前、配達員たちが社員の持っているQRコードを読み込んでいる。どうやらこれがタイムカードのようなので、見よう見まねでなんとか打刻を済ませた。

不安の勤務開始!のはずが

 打刻の終わった人たちの多くは、バイクの鍵をとり書類を手にして何かをチェックしている。どうやら何度もここにきている人たちらしい。筆者も含めて数人、その波に乗れなかったが、特に指示は来ない。緊張しながら社員に「すみません。初めてで準備の仕方がわからないので教えていただけませんか」と声をかける。社員は「あ、あそこにスマホがあるんでとってきてください。鍵はその横の箱に。その下のチェック表でバイクのチェックをしてください」と早口で言われた。  チェックが終わって次に何をしたらいいか尋ねると、スマホの使い方を説明してくれるという。業務用のスマホに専用のアプリが入っていて、そこに注文が届くからそれを配達してほしい。そのほかはLINEでやりとりするといった内容を30秒ほどで教えられた。これだけで、本当に働けるのだろうかと不安になる。そうこうしているうちに「これが釣り銭です。中身を確認してください」と袋を渡された。その中には釣り銭用の千円札と小銭が規定の額入っていた。  まだほとんど何も教えてもらっていないのに、現金を渡されていいのだろうか。不安はさらに募る。未経験者なのだからもう少し優しくしてほしい。

ベテラン社員の登場でカオスな状況に

 不安いっぱいになっているところに、太った男性が「もうあと3分で注文入り始めるけど、こんな状態で出発できるの?朝礼はした?」といいながら入って来た。「いや、まだ」と答える社員。「これじゃ間に合わないよ。俺が朝礼やるから親機立ち上げといて」と、社員に指示を出すとアルバイト全員に向けて「俺は今日、ヘルプで来ただけだから個別の共有事項はわからないけど」と前置きした上で、事故防止に向けての注意喚起や配達間違い防止の確認事項を共有し、すでに準備ができているアルバイトを送り出した。別のエリアからきたヘルプの社員のようだ。  彼は、準備の勝手がわからず佇んでいる未経験の筆者ら3人に「皆さんは?」と尋ねる。ひとりが「今日が初めてなんですけど、勤務前に何か書類を書いて、免許証を確認してもらうと聞いてるんですが」と答える。ヘルプの人は社員に向かって「書類はどこにあるの?」と尋ねるが「いや、わかりません」との返答。いつもどうしてるんだよ、という詰問には、バイトリーダーの子がいつもやっているのでと返す。「君が責任者なんだよね。ここに来たばっかりじゃないんだから書類の場所がわからないとかありえないよ。探して」と、至極まっとうな言葉が飛ぶ。  なんなのだ、この状況は。
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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