更新日:2023年05月24日 14:40
カーライフ

国内自動車メーカーが大変な理由は特殊化が進む日本市場…でもフィットは両方で通用する

 先日スーパー銭湯にいた若者の会話で、「ホンダって軽やミニバン以外も作ってるって知ってた?」「日本以外でだろ?」というのを聞いて、唖然とした担当Kです。KにとってホンダといえばF1やNSX、もしくは『バリバリ伝説』の主人公のバイクなのですが、20代にとってホンダといえばN-BOXやステップワゴンだそう。そんななか、世界で一番売れてるホンダ車は……。
オートクラブ

HONDA NEW FIT

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信(流し撮り職人)=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

新型フィットは国内向けなのに海外でも通用する日本の星だ!

 日々何も考えてないボンクラのみなさん、こんにちは。ニッポンはとってもいい国ですね! ボンクラは海外事情なんざ一切考える必要ありません! 日本でノンビリ暮らしましょう!  ところが私のようなエリートは、無意味に「世界におけるニッポン」みたいなことを考えてしまいます。  現在、日本経済を支えているのは自動車産業ですね。家電は転落しちゃったし、半導体産業なんざ絶滅寸前。自動車が頼りです。  ところが、日本の自動車市場は特殊化を深めておりまして、世界とは隔絶した別世界となりました。  なにしろ日本で売れているクルマの半分強が、海外では売ってない日本専用モデル(軽とミニバン)。おかげで国産メーカーは日本向けと海外向けを別々に作らなきゃならず、それがハンデとなっている。日本では、いわゆる「グローバルカー」はデカすぎてあまり売れないので。  たとえば、ホンダの世界最量販モデルはシビック(世界2位)だけど、日本で売れてるのはそのうち1%くらい! 国内販売ベスト50にも入らない! 世界1位のカローラは、国内販売比率が10%弱あるけど、それは日本向けだけ小さいカローラを作ってるから! つまり別のクルマなのでした。  ところが、ホンダ・フィットはグローバルカーでありながら、日本市場をメインターゲットに開発されているという、かなり稀有なモデルです。理由は単純で、サイズが小さいがゆえに、アメリカよりも中国よりもヨーロッパよりもアジアよりも、日本で一番売れてるから!
オートクラブ

NESSタイプ

 これまでの全フィットのうち4割が日本で売れた! それでいて海外でもそこそこ売れてる! そういうクルマが日本にも残っててヨカッタ~! ボンクラのみなさんにはどうでもいいことでしょうが、エリートはそういうことが気になるのです。
次のページ
柴犬顔が愛らしい
1
2
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

記事一覧へ
おすすめ記事