更新日:2020年06月05日 14:44
仕事

完全テレワークの正社員で月給60万円…コロナ後に重宝される人材は?

 新型コロナウイルスの猛威は“実体経済”を蝕み、今後は資金繰りに窮する企業や個人事業主のみならず、会社員にも多大な影響を及ぼしそうな情勢だ。価値観や生き方すら変えかねないアフターコロナの荒波をどうかいくぐればよいのか――賢人たちに生存戦略を聞いた。 コロナ後の勝ち組になる!

テレワークが浸透した世界ではスキルよりも“束ねる力”が物をいう

 経済にも深刻な影響を与えている新型コロナウイルス。多くの企業が業績予測を下方修正し、その打撃が生むアフターコロナの世界では、リストラの嵐が吹き荒れる。 「コロナ禍で業績が悪化している企業にとってコスト削減は、喫緊の課題。社員全員を以前の同水準の待遇で雇うことは難しく、不要な人員を抱える余力はありません。  今後は人件費を浮かすために外部に投げられる業務はどんどんアウトソーシングが進み、大規模なリストラが起きるはず。  その場合、年功序列でなんとなく会社に居座っていた管理職だけでなく、部署や業務内容によっては若手~中堅社員もリストラの対象になるシビアな展開が予想されます」  そう語るのは、5万人ものテレワーカーを抱えるイマクリエの鈴木信吾氏だ。Googleや日本生命などのテレワークを支援している同社には、さまざまな企業からテレワークによるアウトソーシングの依頼が寄せられている。 「部署で言えば人事や総務、経理などはアウトソーシングがしやすく、そのすべてを正社員で回す必要はありません。営業部門でもこれまでは若手が担っていたようなプレゼン資料の作成や営業先リストの整理など、定型的な作業はどんどん正社員からテレワーカーに代替されています。そのほうが人件費が安く済みますし、実際にアウトソーシングしてみたらクオリティも高かったりするので、この流れは加速していくと思います」
コロナ後の勝ち組になる!

イマクリエ社長・鈴木信吾氏
営業部門の主力社員もテレワーク。人事部門の責任者に至ってはフランス在住で完全にテレワークだというイマクリエ。「新しい働き方」を体現しており、その仕組みづくりには生存戦略のヒントがありそうだ

 図らずもテレワークが一気に浸透し、今後も加速すると予測される日本の労働市場。だが、仮にリストラなどで会社を辞めてしまった場合、テレワーク業務を外注で受けてもなかなか勝ち組にはなれない。  それでは、どのような能力がアフターコロナの労働市場では価値を持つのだろうか。答えを知る手がかりになるのが、テレワーカーに支払われる報酬の相場だろう。下記はイマクリエが実際に取り扱っている案件の職種と相場をまとめたものだが、ここから読み解けるのは「職人になるのではなく、職人を束ねて業務を推進していく力を持った人」により多くの対価が支払われているという点だ。 <イマクリエで実際に募集しているテレワーカーの給料と職種> ▼パワーポイントでの資料作成(アルバイト/ 業務委託)時給1200~3000円 ▼法人向けテレアポ(正社員/ アルバイト/ 業務委託)時給1100~4500円 ▼カスタマーサポート(正社員/ アルバイト)時給1100~1800円 ▼ライブコマース要員(アルバイト/ 業務委託)時給2500~5000円 ▼オンライン座談会(アルバイト/ 業務委託)時給2000~3000円 ▼プロジェクトマネジャー(正社員)月給60万円 ===== 「パワポで鮮やかな提案書を作ったり、エクセルで複雑な関数を操ったり、コードをすらすらと書ける人は確かに重宝されます。でも、こうした技術の持ち主はクラウドソーシングや海外のより安い労働力と競合するため、高い報酬が長期間約束されるほどの安定感はありません。  むしろ今後、必要とされるのは、そうした専門家集団をリモート下でもキチッとまとめられるプロジェクトマネジャーという役割。これはどの業態でも圧倒的に人材が不足しています。弊社でもパワポを使って文書を作成するアルバイトさんがたくさんいますが、一方でこうしたパワポ職人をとりまとめて進行管理するプロジェクトマネジャーは希少。  なので、完全テレワークの正社員として熊本在住の方を月給60万円で雇っています。アフターコロナの世界で物をいうのは、テレワーカーを束ねる力だと痛感しています」  専門性の高い技術者集団を取りまとめ、業務を推進する。そんなタスクはサラリーマンとは馴染みが深く、特に中間管理職には求められる必須スキルだ。リストラにやみくもに怯えるより、自分はどんなジャンルならばそれが成し得るかを考えてみるとよいだろう。  コロナ禍でさらに加速する企業のアウトソーシング化とテレワーク。優れたマネジメント力で新時代の荒波を乗り越えたい。 【イマクリエ社長・鈴木信吾氏】 ’02年青山学院大学を卒業後、大手住宅メーカーを経て’07年に同社を起業、’16年に代表取締役に就任 <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!5月19日発売号の特集「コロナ後の勝ち組になる!」より
週刊SPA!5/26号(5/19発売)

表紙の人/ 桜庭ななみ

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