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同僚が感染死。コロナウイルス清掃員が直面する医療現場の壮絶とは

「いつ感染死してもおかしくない。覚悟はしています」

「亡くなった同僚は、“私に行かせてください”と志願してくれた40歳の男性です。ある日、『いつもと体調が違う』と自覚症状を訴え、PCR検査を受けたら陽性反応が出ました。そこからはあっという間でした。入院して1週間ほどで容体が悪くなり、そのまま病院で息を引き取りました。残念でならないです。  同僚の死が与えた衝撃は重かったです。でも、だからこそ、彼の意思を引き継ぎ業務に当たろうと思い直しました。改めて死と隣り合わせだと思い、家族に宛てた遺書を書きました。『いつ感染死してもおかしくない』と、覚悟しています」  死亡したスタッフが院内での作業中に感染したのか、あるいは別の場所で感染したのか、経路は明確には判明していない。  しかし、急死した同僚を目の当たりにしたAさんたちは、より一層日々の感染防止を徹底するようになった。 「重症の患者さんたちは、本当に苦しい顔をされて入院されます。元気になって退院される方もいれば、残念ながら同僚のように亡くなる方もいる。とにかく言えることは、院内感染を予防するために私たちに何ができるのか? 消毒という役目を徹底して行わなければならないと思っています。  また、僕らが現場から得た知見はきっと他の場所でも役に立つはず。そう考え、オンラインセミナーを開催してノウハウを共有する活動も行うようになりました」

医師や看護師もフェイスシールドや二重の手袋など厳重な装備で治療にあたる

徹底した感染予防も突破するコロナウイルス

 プロの業者がこれだけ徹底した対策を行っていても、感染リスクはゼロではない。緊急事態宣言が解かれ、外出の機会が多くなるということは、いつどこで自覚症状のない感染者や物に付着したウイルスと遭遇してもおかしくないということを改めて自覚する必要がある。

感染症廃棄物を識別するバイオハザードマーク。黄色は注射針など鋭利なものを示す

 Aさんたちも行っている、日常で取り組むことができる感染予防方法を聞いた。 「やはり手洗いの徹底だと思います。おそらく、皆さんは手指だけを洗っていると思いますが、これだけでは正直足りません。せめて肘から下、すべてを洗って頂きたい。  また、人混みや不特定多数の人が集まる場所から帰宅したら、すぐにシャワーを浴びて全身を洗い流すのが一番です。それが難しい時は、玄関で消毒用のアルコールを噴霧するなどして欲しい。うがいに関しては、少し濃いめのイソジンを使ってほしい。あと、もっとも大切なのは、お部屋の換気。30分に1回しっかり換気すれば、ある程度効果があると思います」  早くも「第2波」が懸念されるなか、最前線で終わりの見えない恐怖に立ち向かう医療従事者たちの命懸けの覚悟には敬意を払わざるを得ない。コロナ禍の早期収束を願うならば、ひとりひとりが適切に感染リスクに備え、自覚的に行動し続けるしかないようだ。
取材協力/医療機関指定・ウイルス除菌研究所 医療機関、介護・保育施設、飲食店、レジャー施設、公共交通機関など、幅広い施設でハイクオリティーな除菌・消毒を行っている。24時間365日の電話付で夜間、緊急時にも対応。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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