仕事

やっぱりテレワーク定着しない? “なし崩し出社”が始まった今、マジメに考えた

「原則リモートワーク継続」にシフトした企業も

やっぱりテレワーク定着しない

日立製作所は今年5月、在宅勤務の活用を標準とする働き方に転換を発表。どんな事態が起きても事業活動を維持できる、働き方の「ニューノーマル」を構築する決意を示した

 一方で、すでに日立やドワンゴ、日本IBMのように「原則リモートワーク継続」にシフトした企業もある。 「ウチは『週2回まで』という制限がありましたが、緊急事態宣言下で一斉に出社しなくなりました」  こう語るのは、都内の大手ITサービス企業でSEを務める大橋祐樹さん(仮名・51歳)。 「リアルな場がむしろ不便だと気づきました。例えば11時まで品川で会議後、丸の内で11時スタートの打ち合わせなど、物理的に無理だったことが、リモートワークで可能になった」
やっぱりテレワーク定着しない

「将来はVRやARを使った、あたかも会議室でミーティングをしている気持ちにさせる最新のツールが続々と登場し、それが当たり前となる時代がくるでしょう」(松葉氏)

 また、ITベンチャー企業の経営者・桜井亮太さん(仮名・58歳)は、「コロナ以前から、我が社では出社・リモートを自由に選べるシステムを取り入れていた。『出社拒否症で職場を辞めた』、『車いすだから移動が困難』、『地方に住んでいる』など、実力はあるのに出社困難という理由だけでくすぶっているのはもったいない。ウチは、そんな人材を積極的に採用しています。コロナ禍で、やっと時代が追いついた」と、誇らしげな表情で語った。  今後、このような企業は段階的に増えてくるのだろうか。 「緊急事態宣言をきっかけに、リモートワークがニューノーマル(新しい常態)な働き方として注目されました。HRテクノロジーの発達により、リモート業務が標準化される時代はすでにきています」 と見るのは、HR事業を手がけるjinjer HR Tech総研所長の松葉治朗氏だ。 「現状、リモートワークへの不満の声として『相手の気持ちがわかりづらい』といったものがありますが、働き方を、プロセスより成果重視の『ジョブ型思考』に変えれば、働き方の価値観も変わるのでは。また、今はVRやARなどのテクノロジーは常に進化しています。3年以内には、あたかも会議室でミーティングをしているかのような最新のツールが登場するでしょう。これを企業側が積極的に取り入れれば、将来的にリモートワークは定着するのではないか」
やっぱりテレワーク定着しない

松葉治朗氏

 時代はすでに「With/Afterコロナ」に突入している。国内企業にリモートワークが定着するには、最新テクノロジーの活用や、新しい働き方への意識改革など、企業側の工夫が必要になってきそうだ。
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これからの管理職は「ジョブ型」 マネジメント力が必須?
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