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サイボウズ社長・青野慶久が語る“当事者”としての夫婦別姓問題

 6月23日、事実婚の夫婦が「夫婦別姓」での婚姻届の受理を求めた審判について、最高裁が「夫婦別姓禁止は合憲」の判決を下した。’15年以来、2度目の憲法判断は前回同様、原告の訴えを退けたのだ。
青野慶久

サイボウズの青野慶久社長

 この判決にひときわ熱い視線を注いできた人物が実業界にいる。社内の情報共有を目的としたグループウェアの開発を手がけるサイボウズの青野慶久社長だ。  自らも選択的夫婦別姓を求めて’18年に国を提訴。一審、二審では敗れ、最高裁に係属していたのだ。しかし、23日の最高裁判決を受けて、青野氏の上告も24日付で棄却されることに……。  そんな青野氏は「働き方改革の旗手」としての顔も持つ。「100人100通りの働き方の実現」を掲げて、働く時間や場所、業務に至るまで自由に選択できる職場を実現してきた。なぜ、夫婦別姓問題や働き方改革で主導的役割を果たすようになったのか? 上告棄却の直前の6月某日、社員もまばらなオフィスで青野社長を直撃した。

「選択的夫婦別姓が認められるのは時間の問題」

――以前から取り組んできた夫婦別姓問題が大きな注目を浴びています。 青野:裁判を起こした’18年当時はメディアこそ面白がって取り上げてくれましたが、政治家の反応は薄かった。  ところが、翌’19年の参院選前には立憲民主党の枝野(幸男代表)さんから「選挙の争点にしたい」と連絡をいただけるほど、大きな話題になりました。そのときの党首討論でも「選択的夫婦別姓に賛成か?」との問いかけに、安倍総理(当時)以外の全員が挙手。  与野党問わず関心の高い問題だったことがわかり、菅政権に移行してからは政治の場でも盛んに議論されるようになりました。今は最高裁の審理を待つ身ですが、もはや勝ったも同然です。最高裁で棄却されても、今後、国会審議を経て選択的夫婦別姓が認められるのは時間の問題ですから。

青野社長が夫婦別姓問題の当事者になったワケ

――なぜ、青野社長が夫婦別姓問題の当事者になったのか? 青野:’01年に結婚する際、妻から「私、名前変えたくないんだけど」と言われたのがきっかけ。一瞬躊躇しましたけど、「じゃあ、僕が変えるわ」と、あまり深く考えずに、妻の西端姓を選択したんです。  名前を変えた経験がある男性は少数派なので、「仕事上の『青野』と戸籍上の『西端』を使い分けてみたら面白いかも」とも思った。ところが、変えてみたら想像以上の手間が発生したんです。それも雪だるま式に……。  運転免許証やパスポートは当然、名義変更が必要だと思っていましたが、その身分証明書をもとにつくった銀行・証券口座の変更も迫られました。海外拠点のメンバーが僕の宿を「青野」で予約してしまい、現地で証明に手こずった経験があるので、海外出張の際には旧姓の古いパスポートを持ち歩くようになりました。 ――それでも仕事上は青野姓を使い続けたわけですね。 青野:芸名のように、「青野」で定着してますからね。でも、’05年に社長に就任すると、仕事でも青野姓の使いづらさを感じるようになりました。当時は、株主総会を開くときは戸籍名でやることになっていたので、「議長の西端慶久です。普段は青野ですが、今日は西端です」という挨拶から入らないといけない。姓の二重管理にかかる手間は想像以上でした。
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「家族の絆が失われる」と思う人は、同姓を選択すればいいだけ
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