“DX”の意味わかる?社長は「デラックス宣言だ」と自信満々の回答
「いきなり“デラックス宣言だ!”と社長が言い放ち、社員の失笑を買っていましたよ」
こう話すのは、運送会社勤務の宗田雅之さん(仮名・30代)。ニュースなどで「DX」というキーワードを目にする機会が増えた。いま、あらゆる企業でリモートワークをはじめ、業務の「デジタル化」が急速に進んでいるが……。
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略。7月に経済産業省が発表した『「DX推進指標」とそのガイダンス』によれば、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や 社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されている。
宗田さんの会社では、若手社員が中心となり、社内業務にITをもっと取り入れて業務効率化を図る「デジタルトランスフォーメーションチーム」が発足した。若手が作成した計画書は、上司によるチェック、上層部の承認を受け、社内のビデオ会議で社長から発表されることになったのだ。
冒頭のセリフは、そんなときの出来事だった。
「社長、デラックスじゃないです!と慌てて言ったものの、当の社長は“トランスってなんだ?”と全く分かっていない様子で」(宗田さん、以下同)
そして、嫌な予感は的中。若手が作ったはずの計画書の内容は当初のモノとは大きく乖離した形で上層部に報告されていたために、とんでもないことになった。
「ハンコは全部廃止、紙も廃止、コピー機も一台残して廃止、となっていたんです。若手に聞くと、そんなプランは立ててないと。結局、上司たちが上層部のウケが良いように勝手に書き換え、無茶苦茶な計画になってしまっていたんです」
上司などの承認がある場合でもハンコはダメ、紙もない、全部社内クラウドで行うようになったが、そもそも上司の半分くらいは「クラウドってなに?」状態。
「今まで頼りにしていたOA機器の会社に使い方のレクチャーを頼む予定だったのが、そことの契約まで切っちゃって。若手が業者に代わり、先生役をなんとかやっていますが……。こんな仕事はしたくないと不満を爆発させていますよ」
「DX」の意味わかる?
社長が「デラックス宣言だ!」と言い放った
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