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第566回 7月25日「監視ネットワークはすでに」

・マイナンバーを口座に紐付けようという施策に対して強く反対している人達がとても多いのだけど、そもそも口座情報は正確な個人情報込みで銀行に握られていることは気にしないんだろうか。 ・韓国で新型コロナ陽性者の行動記録が過去にさかのぼってトレースされ公表されていることに震撼してる人は多い。一方で、俺コロナおじさんがフィリピンパブで飲んでるプライベート映像がテレビニュースで流れていたことについて疑問の声を上げる人はほとんどいなかった。 ・監視社会はある日突然、作られるものではない。いつの間にか、ごく自然に、巧妙に、出来ていくものだ。たとえば昨年のハロウィンで大暴れした若者が後日何人か逮捕されたが、警察は渋谷から当人の自宅まで、街頭カメラの映像を数珠つなぎにして個人を特定したそうだ。一般人がSNSに上げたスマホカメラの映像〜その直後の時刻の渋谷駅の監視カメラ映像〜乗ったであろう電車の停車駅全ての監視カメラ〜降りた街の商店街の街頭カメラ……といった感じで住居の近くまで追ったということ。 ・現時点で、防犯カメラ映像が容疑者特定のきっかけとなっているケースは刑法犯逮捕件数の1割を超えている。監視ネットワークはほぼ完成していると言ってよいだろう。既にいたるところにカメラは存在する。タクシーに乗っても自動販売機の前に立ってもあなたの顔は撮影されている。スマホを使うたびにあなたの個人情報(行動履歴・購買履歴・検索履歴)は吸収されている。大量の個人情報は、中国のように国家が強制的かつ一元的に管理しているわけではないが、権力ないし財力がある団体なら簡単に利用できる状態にある。 ・少し前のことだが、レシートを整理していたら買った覚えのない商品が記されていることに気付いた。そのコンビニに行って申し出てみた。購入時とはおそらく別の店員だったが、ほんの数分で確認し、返金してくれた。店内カメラの映像をチェックして、僕が購入した商品と、レジに残された記録が違うことを確かめてくれたのだ。 ・監視カメラの製品情報を調べてみて、性能の進化に驚いた。コンビニではレジカウンター上の商品や客の手元のお金やカードが判別できるレベルの高精細カラー映像が24時間休みなく記録されているのである。それが数ヶ月ぶんは保存されていて、日付時刻を打ち込めば瞬時にその場面が再生できるのだ。 ・登録された人物が映ったらすぐに特定できる顔認証機能を搭載したシステムも既に普及している。フランチャイズ内で情報がどこまで共有されているかはわからないが、一店舗で問題を起こした人間はすぐに全店舗で出入り禁止となる、というようなことも既にありえるだろう。 ・現実は、マイナンバーカードにびびるレベルの話ではないところまで進んでいる。監視ネットワークの増殖は既に止められない。それが存在することを前提に、どう活用するか、そしてどう歯止めをかけるかを考えるべき段階なのだ。 ……………………………………………………………………………………………… ※この話題「監視ネットワークはすでに。」のライブトークVer.はこちらです↓
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。
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