東京除外で“Go Toトラブル”…抜け穴を突いて詐欺まがいの手口が続出!?
コロナ禍の経済支援策として1兆7000億円もの予算を投じた「Go To キャンペーン」。その目玉は旅行代金が半額になる「Go Toトラベル」だ。しかし、直前に実施を前倒ししたり、東京を除外したり……と政治に振り回され、旅行業界は混迷を極めている。背景に何があったのか?
「ほら、僕の言ったとおりになったでしょ」
大手旅行代理店で窓口業務を担当する深津研二さん(仮名・37歳)は、二転三転のドタバタ劇を演じた国の観光支援キャンペーン「Go To トラベル」を冷ややかに突き放した。
「Go To トラベル」は1兆6794億円と巨額の予算を計上した「Go To キャンペーン」の一環で、コロナ禍で業績が悪化した観光業を支援する経済対策の目玉。国に申請した旅行業者を利用すると、旅行代金の2分の1が還元される。
当初は8月から実施予定だったが、7月10日、政府は突如として7月の4連休前の22日からの「前倒し」を発表した。前出の深津さんが続ける。
「前倒しが決まり、またどんでん返しが来るぞと警戒していました。窓口で下手に対応すれば、あとで還付金の申請方法などの問い合わせが増えて、お金にならない仕事に追われるのはわかっていた。だから、お客様には旅行代金が事前割引になる27日以降の予約をすすめ、極力契約しないようにしていた。一人でも多くのお客様が欲しいのに……」
突然の「前倒し」の背景に何があったのか。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、こう解説する。
「全国一斉休校で減った授業を消化するため夏休みが短くなり、家族旅行の需要減が危惧されていた。ただ、今年は東京五輪の開会式に合わせて4連休があり、さすがにこの連休に授業は行わない。つまり、8月の需要減を7月の連休で補う目論見だったのです。
また、コロナ対策というブレーキを踏みながら、経済のアクセルを踏んできた安倍晋三首相は、ブレーキだけ強くするわけにはいかなかった。だが、首都圏で感染者が急増し、今後さらに増えればキャンペーンを開始しにくい……退くに退けず、前倒しで踏み切ったのです」
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