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東京除外で“Go Toトラブル”…抜け穴を突いて詐欺まがいの手口が続出!?

制度の抜け穴を突いて詐欺まがいの手口が続出!?

 制度設計の欠陥を経済アナリストの森永卓郎氏は、こう指摘する。 「東京除外は英断だが、東京都全体を一括りにして除外したのは、ゆきすぎでしょう。東京は実は広く、過密な23区と多摩地域や伊豆諸島などの島しょ部を同様には扱えない。新宿区の昼間人口密度が4万2000人/㎢なのに対して、桧原村はわずか20人/㎢。東京23区の昼間人口密度は全区が1万人を超えており、全国への感染拡大を防ぐなら、東京都ではなく23区を除外するべきだった」  急ごしらえの制度の穴を突く、詐欺まがいの不正利用も懸念される。実際、国の持続化給付金は、審査がザルで不正受給の標的にされた。  首都圏からの客が8割を占める神奈川県・箱根で旅館を経営する飯田武さん(仮名・42歳)は、こう懸念する。 「地方出身の都民が地元の住民票を取ったり、他県の友人に旅行をオンライン予約してもらうなど、都民でもこのキャンペーンの恩恵を受けられる抜け道はいくらでもある。国は住所確認が制度利用の条件と言うが、免許証を持っていない人もいるし、お客様から『忘れた』と言われてキャンペーンは利用できませんとは言えません」  一方で、新横浜や浦安など東京至近の他県に宿泊し、そこから足を延ばせば、キャンペーンを利用して東京観光を楽しむことは可能。また団体旅行では都民以外の人が代表で予約すれば都民が参加していても割引対象になるケースも考えられる。前出の森永氏が続ける。 「個人の旅行者が脱法的な手口で利益を得るケースも当然、出てくるでしょう。ただ、もっとも得をするのは、所管する国交省。霞が関はこうした手段で利権を生み出しているのです」  キャンペーンを事業委託した全国旅行業協会は、国交省の有力な天下り先だ。いったい誰のためのキャンペーンなのか……。 【鈴木哲夫氏】 政治ジャーナリスト。フジテレビ報道センター、朝日ニュースター報道制作部長、日本BS放送報道局長などを経て現職 【森永卓郎氏】 経済アナリスト。獨協大学教授。新著に『年収200万円でもたのしく暮らせます コロナ恐慌を生き抜く経済学』(PHPビジネス新書) 取材・文/齊藤武宏 写真/朝日新聞社 ※週刊SPA!7月28日発売号より
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週刊SPA!8/4号(7/28発売)

表紙の人/ ゆきぽよ

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