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ペーパー8社で1600万円を不正受給「持続化給付金200万円」に群がる悪党たち

税務署の収受印を偽造する者も

「俺なんて控えめなほうだよ。仮想通貨とかネットワークビジネスやってる連中なんて、節税のためにペーパーカンパニーを3、4社持ってることもザラ。8社分で申請出してる仲間もいる。金に困ってるヤツは一人もいないけど、くれるっていうならもらうよね」  奥窪氏によると、「悪質な業者だと税務署の収受印を偽造して、確定申告書の偽の控えをコロナ関連の給付金や融資審査に提出する者もいる。これはかつて、個人の住宅ローンなどで使われた裏技ですが、最近では法人名義でのコロナ関連の融資の審査にも使われている」と明かす。
持続化給付金詐欺

持続化給付金の申請には、基本的には税務署の収受印が押された確定申告書の提出が必要。悪質なケースでは税務署の収受印を偽造し、嘘の確定申告書を提出する者も…

 中小企業庁は持続化給付金の不正受給の審査をしており、経営者が法人とフリーランスの二重に申請するなどのケースがあることを把握しているという。このような二重申請に違法性はないのか。  奥窪氏が「持続化給付金事業コールセンター」に、「法人とフリーランスの二重申請」が可能なのか問い合わせてみたところ、電話口の男性オペレーターは「個人事業主として事業収入があり必要書類が揃えられるのなら、法人と両方で受給は可能」と答えたという。さらに、「同一人物が代表を務める法人が複数あっても、条件を満たしていればそれぞれで受給可能」との回答も得られた。あくまで別人格の事業者にはそれぞれに受給資格があるということになりそうだが、今後、より厳密な不正受給者の調査が行われていくだろう。  最近、持続化給付金の不正受給による逮捕が報道され、「怖くなかったから返金したい」といった相談が中小企業庁や警察に寄せられているという。安易な気持ちで不正に手を染めてはいけない。 <取材・文/SPA!編集部>
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~

詐欺師や反社、悪事に手を染めた一般人まで群がっていた
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