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35歳で「乳がんステージ4」が発覚。それでも婚活を続けた女性の8年間

露出多めのファッションで婚活を本格的に開始

 抗がん剤の副作用により痩せてしまったが、それ以前が太り気味だったこともあり、見た目だけは確実にキレイになっていたのだ。  それまで挑戦できなかったショートパンツなどの露出多めのファッションも似合うようになり、見た目に自信がついた私は婚活のため、合コンやイベントなどの出会いの場に積極的に出かけていた。がん宣告前から予定していた海外旅行もしっかり行った。
ベリーショート

抗がん剤治療で髪の毛が抜け落ちる直前にはベリーショートに

 もちろん免疫力が落ちているので、真夏であってもマスクは必須で、睡眠時間や食生活には気をつけていた。お酒は付き合い程度に飲んではいたが、副作用なのか弱くなっており、量はあまり飲めなかった。そもそも飲酒は主治医の許可はとっておらず、本来、治療中はもちろんNGだ。  ステージ4のがん患者にもかかわらず、見た目がキレイになっていたので、男ウケも悪くなく、治療中も何人かの男性とデートをしたり、付き合ったりもできた。しかし、もちろんいいことばかりではなかった。

合コンの二次会、カラオケ店で宙を舞ったウィッグ

 8歳下の元彼と別れてから、初めて気になって何度かデートした3歳下のイケメンエリートがいた。嫌われたくなくて、乳がんであることを打ち明けられず、ウィッグがバレないようにした結果、本当は私ももっと親密になりたいにもかかわらず、彼からのスキンシップを拒んでしまっていた。  すべて話して受け入れてほしいと願う一方で、もし自分が逆の立場だったら……と考えると、何度かデートした相手からの「治るかもわからないステージ4のがんを告白」は重すぎる。考えれば考えるほど受け入れることは簡単なことではないと再認識してしまい、自分の運命を呪ったりもした。  その後、ハグやキスもできず、お家デートももちろんNGの私を彼は当然、理解することができず、去っていってしまった。女性を選び放題できる立場にある彼には年上で理解できない相手に固執する理由なんてあるわけない。そう頭ではわかっていても、とても悲しかった。
デート

ウィッグをつけて動物園デートをしたことも

 ヤケになって合コンに行きまくっていた際、二次会でのカラオケで盛り上がって、ウィッグが吹っ飛び、空気を凍らせたこともあった。そのときはとっさに「髪が決まらなかったから、ウィッグで来ちゃった!」と嘘をついた。  出会いの場ではたまに「自毛だよ」とごまかしても、執拗に「いや、絶対ウィッグだよね?なんで隠すの?」と聞いてくる人もいた。悪気はないとわかっていたのだが、対応に困ったのをよく覚えている。  そもそもこれだけの大病を患っている自分が恋愛をしていいのかと思い悩み苦しみ、当時はよく泣き、泣き疲れて、そのまま寝入ってしまっていた。
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一番悲しいのは「人から忘れられてしまうこと」
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