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コロナで閉店したラーメン店主の嘆き。給付金は消え、借金2000万円が残った

 収入減に会社倒産、投資失敗……コロナを機に無一文となる人が後を絶たない。突然に訪れた無と絶望とはいかほどのものか。もはや他人事とは思えない、日本の現実をリポートする!「明日はわが身」かもしれない!?
[コロナで無一文]衝撃ルポ

※写真はイメージです(以下同)

ラーメン店もコロナで大打撃。客足が途絶え…

 コロナは順風満帆に経営していた企業にも襲いかかる。特に飲食業界は大打撃を受けた。  20年ほど前にラーメン店を開業し、かつては10店舗を経営していた松本悟さん(仮名・55歳)もその一人。近年は群馬県でフランチャイズ店舗2つと、東京店の計3店舗を細々と経営していた。 「しかし3月にコロナ禍で客足が途絶え、群馬の2店舗を委託していた店長が音を上げた。そして『大家が次の借り手が待っているから早く引き払ってほしいと言っている』と急かしてくるので委任状と退職金を渡して解約手続きを任せたんです。それが運の尽きでした」  実はその後店長は、何と店を自分名義で契約しなおし、松本さんの創始したブランド名を看板から外して自身のラーメン店として営業していた。松本さんからノウハウと店舗を乗っ取ったのだ。 「群馬店の売り上げは折半していましたが、コロナ禍で払うのが惜しくなったんでしょう。『あなたのラーメンが好きだからやらせてくれ』とせがむから、出店資金もすべて出して任せたのに……」 ラーメン 残った1店舗を守り抜こうと決めた松本さんだが、力及ばず5月には閉店に。その後も小さな店舗を借り再出発を試みたが、緊急事態宣言発令もあり閑古鳥が続いた。

店舗を乗っ取られ、給付金で数珠を購入

 そんな中、頼みの綱となるはずだったのが200万円の持続化給付金だ。だが松本さんはよりによって某有名宗教「W」に入信し、70万円の数珠を購入してしまう。 「私の中では、店の再建=自分の運気上昇だったんです」  そこからは店を閉めて約1か月間、全国のパワスポや神社を巡り、残りの給付金も旅費と開運グッズに消えた。そして8月に店を再開するも現状は変わらず9月半ば、ついに店を畳むことに……。手元には2000万円の借金が残り、妻は呆れて出ていった。それでも松本さんはあきらめていない。 「今は時給のよい警備員の仕事と日雇いの仕事をしながら、新たなスポンサーを探しています」  誰にでも起こりうる「コロナ無一文」。今後もますます増えていきそうだ……。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
コロナ氷河期

終わりなき凍りついた世界を生き抜くために
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