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三世俳優・寛一郎、芝居は「毎回難しい」 父・佐藤浩市は一番好きで一番嫌いな存在

 納得はできない。それが前進力になる。実父・佐藤浩市と共演した『一度も撃ってません』、又吉直樹原作の『劇場』、そして是枝裕和が脚本に惚れこみバックアップした映画『泣く子はいねぇが』(11月20日公開)でただならぬオーラと存在感を示し、俳優としての評価も高まっている。だが当の寛一郎は「芝居については毎回難しいなぁと思います。これっていつ納得できるんでしょう?」と五里霧中。その言葉からは俳優業に対する真摯な姿勢が透けて見える。

“理想の映画の現場ってこれだよな!”

映画『泣く子はいねぇが』出演する寛一郎

映画『泣く子はいねぇが』出演する寛一郎

 秋田県男鹿半島に伝わる“ナマハゲ”をモチーフにした『泣く子はいねぇが』では、大人にも父親にもなれない宙ぶらりんの男・たすく(仲野太賀)の悪友・志波を演じている。自主映画で注目されていた佐藤快磨監督の商業映画監督デビュー作。佐藤監督の出身地である秋田県の男鹿市でロケを敢行した。何よりも驚いたのは現地住民の全面的協力だ。「自分の仕事を休んでまで撮影現場に関わって、佐藤監督とその作品を盛り上げようとする活気がありました。その場にいる全員が佐藤監督のビジョンを忠実に生み出そうとしていて“理想の映画の現場ってこれだよな!”とシミジミ感じました」と得難い体験をした。

“持って行った演技プランは監督にひっくり返された”

(c) 2020「泣く子はいねぇが」製作委員会

(c) 2020「泣く子はいねぇが」製作委員会

 ディテールにまでこだわる演出にも刺激を受けた。「僕が持って行った演技プランは監督にひっくり返されて、自分が思い描いていた志波像の固定概念を崩された。現場では佐藤監督と何度も話し合って、感情面から声のトーンに至るまで志波という人間性を繊細に顕在化していきました。手探りではあったけれど正直嬉しかった。最近は撮影現場で悩めることってなかったなと思って。慣れてくると“こなす”という感覚も生まれてきてしまうので、この考えるという時間は幸せでした」と試行錯誤を楽しんだ。
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僕にとって彼(佐藤浩市)は、一番好きで一番嫌いな存在
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1984年生まれ、映画好きフリーライター!インタビュー、取材、レビュー、オフィシャルカメラマン、オフィシャルライター
…なんでもやるのでいつでもどこでもなんでもお仕事の御用命お待ちしております!映画パンフレットも結構書いてます!買ってください!

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タイトル:『泣く子はいねぇが』
公開日:11 月20 日(金) より新宿ピカデリー他全国ロードショー

仲野太賀 吉岡里帆
寛 一 郎 山中 崇 田村健太郎 古川琴音 松浦祐也 師岡広明 高橋周平 板橋駿谷 猪股俊明
余 貴美子 柳葉敏郎
監督・脚本・編集:佐藤快磨
主題歌:折坂悠太「春」(Less+ Project.)
企画:是枝裕和
エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
配給:バンダイナムコアーツ/スターサンズ
(c) 2020「泣く子はいねぇが」製作委員会
HP:https://nakukohainega.com/

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