更新日:2020年11月27日 10:05
エンタメ

女優・片岡礼子、若者たちに感心「大人は信用できない」世代

知識と現実が違うと知った時…

――今の若い世代はインターネットネイティブで、自分で情報を探すことを知っているので、大人や周りの言うことを鵜呑みにしないのかもしれませんね。 片岡:そうですね。知識と経験は違うとは思うのですが、それすらも突き抜けられるのではという気がします。「自分たちが知識だけを前提に考えてきたことが現実と違う」と知った時には、どうしたら良いかを周りに聞いて、解決して前に進んでいくのではないでしょうか。  私が若い頃は「そんなことを人に聞くなんて」といつまでも自己解決を目指していて、友達に、「どうして、あの時相談してくれなかったの?」と言われていたりしました。 ――撮影現場の雰囲気はどのような感じでしたか? 片岡:控室ではお互いライバルなので殺伐とし兼ねない設定ですが、信頼関係がきちんとある現場でした。台本を読んで感じたのは、この映画は風俗店が舞台ですが「人の映画」であるということです。登場人物たちの心の中や境遇を丁寧に描いています。台本を読んだ時にはかつて演じた高橋伴明監督の『愛の新世界』(‘94)のホテトル嬢の役を思い出しました。両作品とも「人として」どう感じるかということを丁寧に表現しています。  控室にいる時のシーンは、マヒルをはじめデリヘル嬢の女性陣が現場に来ると、みなさんプロなんでわーっと盛り上げる。いつになったらカットが掛かるのかというぐらいに花園のようにキャピキャピしています。その姿が力強かったです。  もちろん、役の上ではお客の取り合いなどで、女性同士バチバチっとはなります。でも、それは、風俗店だけじゃなくてどの世界にもあること。自分はその輪には入れないけど、彼女たちにはできるだけ嫌な思いや痛い思いをしたり、騙されたり、そういう思いをして欲しくないという気持ちがありましたね。
場面写真

(c)DirectorsBox

若いキャストたちは妹か娘のような愛しい存在

――舞台挨拶やTwitterなどを見ているとチームワークが良い様子が伝わってきます。 片岡:劇中では、シホが若いキャストたちに対して「うるさい」と一喝するシーンなどがありますが、2人で話したら「シホさん昨日来てましたよね?」「そうよ」というような感じで、姉妹のような関係だったかもしれません。自分にとっては、妹か娘のような存在で、そういう気持ちを持てる雰囲気の現場でした。  それは、プロデューサー、スタッフが一丸となって、そういう現場を作り上げてくれたからだと思うんですね。映画祭で会っても嬉しいし、取材で会っても嬉しいし、離れていても愛しい面々と出会ったと思います。  また、カノウ役の伊藤沙莉さんは、お姉さんのような安心感がありました。もっとこの人を見ていたいという気持ちにさせてくれる、目が離せない人です。私の方が年上ですが、「彼女みたいな先輩がいてくれたら」という気持ちは出会ってからずっと変わらないですね。 <取材・文/熊野雅恵、撮影/萩原美寛>
ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員。阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍製作にも関わる。
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タイトル:『タイトル、拒絶』
公開日:新宿シネマカリテほか全国順次公開中

監督・脚本:山田佳奈
キャスト:伊藤沙莉 恒松祐里 佐津川愛美 / 片岡礼子 / でんでん
森田想 円井わん 行平あい佳 野崎智子 大川原歩 モトーラ世理奈 池田大 田中俊介 般若
プロデューサー:内田英治 / 藤井宏二 キャスティングプロデューサー:伊藤尚哉
劇中歌:女王蜂「燃える海」(Sony Music Labels Inc.)
企画:DirectorsBox 制作:Libertas 製作:DirectorsBox / Libertas / move / ボダパカ
配給:アークエンタテインメント
2019 年 / 日本 / カラー / 98 分 / シネマスコープ / 5.1ch レイティング:R15+

オフィシャルサイト:http://lifeuntitled.info
オフィシャルツイッター:@titlekyozetsu #タイトル拒絶

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