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「Go To停止は意味がない。コロナ第3波は峠を越えた」京大ウイルス学者・宮沢孝幸氏の見解

「目玉焼きモデル」とは

――「目玉焼きモデル」とはどういうものですか?
第三波の峠はすでに超えている

「目玉焼きモデル」

「5つの同心円の真ん中をゾーン1、外側に向かってゾーン2~5に区分し、各ゾーンは場所・状況を表します。ゾーン1は接待を伴う特殊な『夜の街』で、ゾーン2はどんちゃん騒ぎの飲食店など。ゾーン3は一般人エリアで、ゾーン4はかなりの感染予防をしている人々。そしてゾーン5がステイホームで巣ごもりしている人々です。  感染拡大の火がつくのは、目玉焼きの黄身に当たるゾーン1で、ゾーン2に飛び火して延焼(感染拡大)はするものの、ゾーン3はRt(実効再生産数)が小さいので、ここに飛び火してもすぐに鎮火(感染収束)する。ゾーン4と5ではなおさら感染は拡大しない。石川県や福岡県で今感染者が少ないのは、ゾーン1と2は第1波と第2波でほぼ燃え尽くされて焼け野原となり、これ以上燃え広がりようがないからです。  一方、ゾーン3~5に感染の火種が入っても、日本では多くの人が過剰なほどに防衛しているので拡大しない。『感染の炎』はまず黄身の部分が燃え始め、外側の白身に向かって徐々に延焼するが、前述したように燃えた部分の感染は収束フェーズに入る。  今回の第3波で感染が拡大したのは、冬の低温と乾燥によってウイルスが強くなり、一方、低温による人の免疫低下も相俟って、黄身(ゾーン1)の周縁に新たな黄身が出現したからだが、すでに第3波はほぼピークアウトしています」 第三波の峠はすでに超えている

「東京都は11月17日に第3波がピークアウト」と見る根拠

――第3波はすでにピークアウトと断言するが、東京都では新規陽性者数が過去最高を更新し、全国でも感染が急拡大しています。 「東京都の『発症日別の感染者数』を見ると、11月17日の320人をピークに緩やかに減少に転じた後、12月5日には224人と下降トレンドに入っており、東京の第3波はすでにピークアウトしていると言っていい」 発症日別感染者数「発症日ベースでは11月17日にピークアウトしたのは、データから明らかです。では、感染日ベースのピークアウトはいつかというと、新型コロナは感染から4日から14日程度で発症するので、11月10日前後ということになる。東京都が飲食店に時短営業を要請したのは11月28日の遥か前にピークアウトしていたわけで、『発症日別の感染者数』が減少したのは自粛したからではなく、自然減が理由と考えるべきです」
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