更新日:2020年12月21日 14:55
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「Go To停止は意味がない。コロナ第3波は峠を越えた」京大ウイルス学者・宮沢孝幸氏の見解

移動制限に大した効果は期待できない?

コロナ

写真はイメージです

「同様に大阪府も、11月18日にピークアウトしている。『推定感染日別の陽性者数』を見ても、11月12日の332人をピークに減少していることがわかる。新型コロナは発症から約10日後に重症化することが多いが、実際、大阪府の重症者数はピークの12日後の11月30日の14人が最多で、その後、減少している。  ただし、これは第3波の『第1波』の話です。  東京都で過去最高の感染者が出たのは、第3波の『第2波』が到来し、下降トレンドに入っている『第1波』と重なった結果、感染者数が増加している可能性がある。  だが、『第1波』がピークアウトした事実は揺るがない。  第1波がピークアウトした後に緊急事態宣言が発出されたように、自粛要請のタイミングは感染増加の後追いにならざるを得ないので、経済を止めるという代償を払うに値する効果など、初めから期待しにくいのです。仮に、それでも移動制限や外出自粛を要請したとしても、もともと感染リスクの低いゾーン3、4の人々をステイホームのゾーン5に押しやるだけで、大した効果は期待できない」

歌舞伎町より家庭内の感染対策を

「東京や大阪など大都市の『夜の街』は、夏の第2波までにほぼ燃え尽くされた。だから、第3波で新宿・歌舞伎町でクラスターがほとんど発生していないのです。燃え切ったゾーンに時短要請を行って、消火のために水をかけても効果が乏しいのは当然です。現在は家庭内感染や寮など集団生活でのクラスターが目立つので、ここへの感染対策を集中的に行ったほうが効果的でしょう。  また、発症日別の陽性者数と新規陽性者数との乖離の問題もある。行政はピーク時の感染者増を受けて、濃厚接触者をトレースしてPCR検査をかけ、新たな感染者を掘り起こしているので、当然、新規陽性者数は増加する。  ところが、ここで見つかった陽性者は無症状者が大多数で、無症状者は当然だが発症していないので、発症日別の感染者数にはカウントされない。だから、発症日別の陽性者数はピークアウトしているのに、新規陽性者数が増える一因になっている。感染させる能力がない無症状者をPCRでわざわざ炙り出して、新規陽性者数を積み上げているようなものです」 「さらに、最近、問題視されているのが、東京都外の陽性者が東京都の陽性者としてカウントされていることです。  検体の唾液を検査機関に送る郵送検査が普及し始め、都内に通勤も通学もしない都外在住の陽性者が東京都の陽性者数として計上されるケースが相次いでいる。  都内に郵送検査を行う医療機関が集中しており、検査で陽性の診断が出た場合、感染症法の規定上、都内の保健所に届けられてしまうからだが、こうしたことも日々発表される新規陽性者数と実態が乖離する一因になっている」
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自説を唱え始めた「コロナ懐疑派」の研究者たち
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ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論2

専門家とメディアが作り上げたインフォデミックによって我々は「1億総強迫神経症」になってしまった――。予約段階で重版が決定し、前作と合わせて累計9万部の問題作。宮沢孝幸氏へのロングインタビューも収録
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