ご存じのとおり、NTTドコモとau、ソフトバンクは3月に手頃な新料金プランをスタートする。NTTドコモの「ahamo」は、具体的に3月26日からと発表されており、楽しみにしている人も多いだろう。
しかし、気になるのが低価格をウリにしてきた楽天モバイルだ。以前から月額2980円でデータ通信も通話もできるという「Rakuten UN-LIMIT」を打ち出していたところ、メイン3キャリアが同じ価格帯にやってきたわけだ。もちろん、総務省の強力な圧力があってのことで消費者としてはウェルカムなのだが、楽天モバイルとしては、価格面でのメリットがなくなってしまった。
圧倒的に安い楽天モバイルの対抗策「Rakuten UN-LIMIT VI」
そこで楽天モバイルは、対抗策として1月29日に「Rakuten UN-LIMIT VI」を発表。4月1日からスタートする新しい料金プランでは、利用したデータ通信量による段階制になっているのが特徴だ。上限はこれまでと同じ月額2980円だが、データ利用料が1GB以下なら0円、1~3GBまでは980円、3~20GBまでが月額1980円、20GB以上が2980円となっている。
Rakuten UN-LIMIT VI
これは衝撃的。2020年2月にMM総研が行った調査によると、月間データ通信量の平均は6.94GBとのこと。7GBまでの累計で全体の79.2%を占めており、ほとんどの人は月額1980円で済んでしまいそうだ。これは明らかにお得。1~3GBの範囲でもMM総研の調査では69.1%もいるので、この場合は980円で済む。29%もいる1GBユーザーなら、あと少し通信量を減らせば0円になるのだ。
圧倒的に安い。赤字覚悟の出血大サービスと言えるだろう。最低利用期間や契約解除料もない。楽天市場でのポイントも+1倍される。
「Rakuten UN-LIMIT V」ユーザーは、4月1日に自動アップグレードされて「Rakuten UN-LIMIT VI」になる
では、楽天モバイルは誰にでもオススメできるのか?といえばそうでもない。いくつか注意点がある。
まず、大手3キャリアでは心配する必要がない、楽天モバイルの対応回線エリアの狭さ。2021年1月末の人口カバー率は74.9%と低い。都市圏では使えるが、地方に行くと繋がらない。そのため、カバー率99%以上のKDDIとローミング接続を行っている。そのおかげで、現在でも広い範囲で通信・通話が可能になっているのだ。
楽天モバイルには楽天回線エリアとパートナー回線エリアが存在する
楽天モバイルとしては、2021年夏には人口カバー率96%を予定しており、ある程度カバーした地域はローミングを切っていくことになる。すでに都市圏ではローミングを切って、楽天の自社ネットワークだけでサービスを提供しているエリアもあるが、だからといって、エリアならどこでも繋がるという状況になっていない。これは、その他のキャリアも歩んできた道なので、想像どおりではある。
楽天モバイルは、今後カバー率を上げていく予定だが、ソフトバンクの宮内CEOによると、カバー率96%から99%にするには兆単位のお金がかかるという。しばらくは茨の道が続きそうだ。
また、ローミングを行うと、楽天はKDDIに接続料を支払うことになるので、ちょっと微妙な制限が発生する。「Rakuten UN-LIMIT VI」は通信容量が20GBを超えても制限なしで高速データ通信できるというのが最大のメリットだが、ローミングエリアでは5GBまでしか利用できない。超過した場合は、最大1Mbpsの速度制限が発生してしまうのだ。もし、自宅やオフィスなど、ヘビーに利用したい場所が楽天モバイルの圏外だとつらいことになる。
さらに通話は無料なのだが、実は普通の通話アプリは使えない。その場合は30秒20円のコストが発生するのだ。無料になるのは「楽天LINK」アプリを使った場合のみなので注意が必要だ。
通話料無料は「Rakuten Link」アプリを使った国内通話のみ