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年収600万円から450万円に激減。Uberで副業、子供と一緒に配達する40代男性の苦悩

下がり続ける可処分所得、不安定な雇用形態……国が「中流」と銘打っていたものが、新型コロナウイルスで明確に崩壊した。仕事も辞められず、転職もできず、パートナーにも頼れず、生活レベルを下げざるを得なくなった新階層“プア中流”とは? 年収が150万円下がった会社員40代男性を取材、「中流」にしがみつくプア中流の日常に迫った。

収入減は副業でカバー。東京暮らしに固執するシングルファーザー

▼年収600万円→450万円
プア中流

写真はイメージです(以下同)

 テレワーク時代で窮地に立たされる紳士服メーカーに勤続する大田裕翔さん(仮名・44歳)も、この10月に手取り38万円から一気に27万円まで減給した、プア中流の一人だ。 「店頭に立つ販売員の同僚は、ほぼ“クビ”といえる減額提示で、実際に会社を去る人もかなり多かったです。私も転職を考えましたが、課長にまでなったし、しばらく様子見したほうが無難と思いまして……」  簡単に辞められないのには、もうひとつ大きな理由がある。大田さんは3年前に離婚し、男手一つで7歳の子供を育てているのだ。 「失業保険なんて月十数万円程度ですからね。これでは東京では生活はできない。秋田の実家に帰ることも一瞬考えましたが、せっかく友達ができたのに転校させるのもかわいそう。別れた元妻にも週1回は預ける決まりがある。  でも、彼女も非正規でカネはないから頼ることはできない……。だから、僕だけは生活コストを抑えるために弁当生活にしました。毎朝6時起きで作っています。でも、息子にはそんな貧乏くさい父の背中は見せないようにしている。子供には、無邪気でいてほしいじゃないですか」

子供の未来のために、仕事上がりに自転車を走らせる!

プア中流 そんな落ちた生活レベルを必死で取り繕うように大田さんが始めたのが、Uber Eatsだ。 「シングルファーザーにとって、一番適したのがUberなんですよ。家周辺でやれば、たまに留守番している子供の顔も見に行けるし、最悪の場合は自転車の後ろに乗せて配達に行けます。  会社からは平日17時終業を徹底されているので、仕事上がりに配達を行えば日給4000円ぐらい。休日は子供と一緒にツーリング的にやっていて、月4万~5万円のプラスになっています。 『前よりパパと一緒にいられる。サイクリング楽しいね!』なんて言われるのが嬉しいやら、悲しいやら……」  週末、小学生の息子同伴で配達に出たときは飽きないよう、配車がかかりにくい時間帯は公園でドリルをしたり遊んだりして過ごすしている。  大田さんのUber同僚には“乳飲み子”を抱えて配達する人もいるという。子供の未来のために、今日も大田さんは仕事上がりに自転車を走らせる。 <取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/長谷英史 モデル/城野マサト> ※週刊SPA!12月22日発売号の特集「[プア中流]の絶望」より
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

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表紙の人/ 福山雅治

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