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男の僕が実感した“女性の見た目”を維持することの大変さ

女装で知った「女性がバッグを持ち歩くワケ」

・服装  服選びは楽しくもあり、毎日悩まされるものだ。もともと女性の格好がしたかったのは、ファッションの幅がたくさんあるからという理由もあった。しかし、幅があるということは、色んな着こなしもあるわけで、男性ファッションにしか馴染みがなかった当初は、なにを着ていいかわからなかった。  また筆者は身体が男性なので、服の選び方も体型を考慮してチョイスすることが多い。例えば肩幅はやはり目立つので、襟の詰まった服は避けている。意外に思うかもしれないが、肩幅があるほど肩を出した服のほうが、視線が散って目立たない。  くびれのないところや、女性と男性は腰の位置が違うのも大変だ。ワンピースはAラインのものを選んだり、ウエストを高くマークして腰の位置を誤魔化したりもしている。大変だ大変だといいながら、男性の生活では知り得なかった事実を知ることは楽しい。女性の服にはポケットがない、もしくはあっても狭いものが多く、着てみて初めて女性がなんで常に「バッグ」を持ち歩くのかを知ったりもした。オールインワンで背中までチャックで覆うような服は、トイレのときに非常に困る。  利便性や機能性だけ重視したら、いまでも男性の服のほうが生活はしやすいだろうなと思うので、とっとと全国の学校で制服は男女共にズボンも選択できるようになって欲しい。 ・体毛  スカートやショートパンツを穿くなら、やはり体毛は処理したいだろう。結局振り返ってみれば、全身の脱毛になんだかんだ100万円くらい使ってしまった。  実は最初の頃は、毛が薄いほうなのでカミソリでなんとかなると思っていた。ところが、ある日足の皮膚に黒い斑点ができ始め、皮膚科を受診したところ原因はカミソリだと。どうやら毎日毛を剃るのが良くないらしい。  でも、剃らなきゃ生えてくる……というわけで、脱毛を決意したのだが、これはやっておいて損はないと思えた。本当に毎日の処理が楽になるし、副産物として毛穴が締まり肌がキメ細かくなる。化粧乗りも違ってくる。男性でも毎日ヒゲを剃るという方は、肌のことも考えて検討してみてはどうだろうか。

女性っぽい“自然な仕草”とは?

・仕草  見た目と関係ないのが出たが、まあ、仕草も見た目に影響する部分だろう。なんせ男児として幼少期を過ごし、大人になってもしばらくは男性だったのだ。まあ、いま思えば仕草は相当ガサツだっただろう。  テレビのオネェタレント並みにクネクネしたら、逆に女性っぽくはなくなるが、それでも多少は学ばなければいけないところがあった。例えばガニ股で肩をゆっさゆっさ揺らしながら歩く女性を見ることはあまりないが、そういう男性はよく見るだろう。  平成元年生まれとはいえ、まだまだ足を閉じて座ったり、所作が丁寧だったりすると男社会で「ナヨナヨするな!」とかいわれてきた世代だ。それを日常的に出ないレベルまで直すのには、時間もかかった。  だが、最近よく「電車で足をガバッと開いて座るオジサン」とか、そういうのが問題になるのを見るに、そろそろ男性全体がもはや旧時代的な『肩で風切る男らしさ』が、無用の長物になってきてることに気づくときが来たのではないかと思う。  女性として暮らすわけでなくとも、女性から学べることは多い。 ・ネイル  これは女性でもやる人、やらない人がいるし、自分も最近までやってなかったので「女装初期にやってたこと」ではないが、一応書いておこう。いままでネイルをしなかった理由は趣味でギターを弾くからなのだが、ちょっと最近諸事情でやらなくなったので、ふとセルフでジェルネイルでもやってみようと思い立った。  ネイルには大まかにマニキュアとジェルネイルがあり、マニキュアは昔からあるので年配の人でもピンと来るだろうが、ジェルネイルはいってしまえば紫外線で乾く速乾性のネイルのことだ。紫外線で乾く際に硬化するので、マニキュアより持ちが良い。  サロンに行く人が多いので、セルフでやるのは女性でも多くないらしいのだが、個人的にマツエクや美容室など、これ以上サロン通いの出費を増やしたくなかったので、そこは努力でカバーをしようという結論を出した。  やってみて、初メイクのときにも思ったが、女性の美容は手先が不器用な人に対して優しくなさすぎる。一回目は爪どころか指の先が真っピンクに染まって、即落とすハメになった。  それでも三日ほど練習すれば、簡単なものならできるようになった。爪が綺麗なのは嬉しいものだ。美容は大変さと楽しさの表裏一体だなと改めて感じた。
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美容にはお金も時間もかかる
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