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乗降客がほぼゼロ…宗谷本線の廃止12駅。駅舎にある「クマ出没注意!」に恐怖

豊清水駅

豊清水駅

豊清水駅

 紋穂内駅から2駅、12.9キロ離れた場所にある豊清水駅(北海道美深町)は、一番近い民家ですら約900メートル離れている秘境駅。 豊清水駅 豊清水駅 それにしては三角屋根のロッジ風の大きな建物があるが、待合室として駅の利用客に提供されているのは6畳ほどの小さなスペースだけ。建物の大半は保線管理などを行う作業員が待機する施設となっており、駅舎と呼んでもいいのか正直微妙なところだ。 豊清水駅 そもそも駅の周りに住民がいないので、利用状況は1日0.4人(※2015~2019年)。それもほぼ全員が鉄道ファンだと思われる。  上下線で1日9本の列車が停車するが、なかでも朝8時台の稚内行き普通列車は特急との待ち合わせのために豊清水駅で約5分間停車。始発が旭川のこの列車は平日でも乗客の大半が鉄道ファン。停車中は列車を降りて記念撮影できることから彼らの間では有名だ。

安牛駅(やすうし)

安牛駅

安牛駅

 豊清水駅から11駅、71.8キロ離れている安牛駅(北海道幌延町)も今回廃止となる駅のひとつ。いかにも牧草地帯のような駅名だが、アイヌ語で「網を引くところ」を意味するヤシウシイという言葉が由来で、牛は単に当て字に過ぎない。
安牛駅

安牛駅周辺

 とはいえ、同町が北海道でも酪農が盛んな地域であるのは事実。稲作の北限だった美深町あたりまでは田園地帯が多かったが、そこから北になると牧草地帯や原野など沿線の景色も変わってくる。 安牛駅 安牛駅 そんな安牛駅も廃車になった貨物用車掌車を待合室として転用。しかし、近年の利用実績を調べると、まさかの1日平均0.0人!(※15~19年)。安牛駅前からは300メートル先の道道256線との交差点まで真っすぐ道が延びており、数十年前は民家だけでなく、商店に雑貨店、服の仕立て屋、運送会社などが通り沿いに並んでいたそうだが、現在は建物すら見かけない。限界集落どころか消滅集落となっており、需要がない以上は廃止も仕方ないのかもしれない。
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「クマ出没注意!」の貼り紙に恐怖
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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