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借金500万円を返済…コロナ“協力金バブル”の恩恵を受けた人たち

今後を見越して閉店を決意

閉店 埼玉と都内で合わせて5店舗の飲食店を経営していた岸田翔太さん(仮名・30代)。コロナによって、そのうち2店舗を閉店することになったという。 「志村けんさんが亡くなった頃から、売り上げがガタッと落ち始めたんです。なのでこれはヤバイなと思い、赤字を垂れ流しそうな店舗は今後を見越してたたむことを選択しました」  当時はどうなることかと危惧したが、休業補償金や協力金のおかげでなんとか持ち堪えたそうだ。 「そもそも飲食店は利益率が低い業界で、一律4万円~6万円の時短要請の協力金の支給は、固定費を抑えてる小規模な店には大儲かりなんですよ。特に小規模で複数店舗を展開しているところは、完全にバブル状態だと思います」  さらに飲食店はコロナ禍のおかげで借入も好条件らしく、場合によっては数千万円引っ張ることも可能だと岸田さんは言う。  その反面、都内では家賃・人件費などの固定費が非常に高く、切羽詰まった状態で経営している店舗も数多く存在するとか。

コロナ禍で個人投資家が増加

 そんな岸田さんに思いも寄らぬ出来事が起こる。それは、コロナ前に購入していた仮想通貨が大当たりしたのだ。 「僕の場合、偶然ではありますが、実際にこのコロナ禍で投資に手を出す経営者は増えたと思います。休業補償金や、協力金の浮いたお金を金融投資に使ってる人が多いんです」  楽天証券のプレスリリース(2020年12月15日)の「証券総合口座数の各社推移」によれば、楽天証券は昨年3月から12月の約9か月で100万口座増(合計500万口座達成)。これは過去最短のスピードだという。  また、SBI証券が発表したプレスリリース(2021年3月22日)によれば、SBI証券は証券総合口座開設数600万口座を達成。預り資産残高および株式委託売買代金においては、2020年12月末時点で、それぞれ前年同期比22.9%増、前年同期比(第3四半期累計)69.6%増になったとか。  コロナ禍のなかで実際に個人投資家が増えていると言えるが、その裏には一部の飲食店の協力金バブルも関係しているのかもしれない。<取材・文/桃沢もちこ>
'93年生まれのフリーライター。社会問題からトレンド、体験取材まで幅広く書きます。アイドルオタクに詳しい。Twitter:@mochico1407
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