仕事

価値観の違いで辞めた新入社員。インスタ映えランチにウンザリ

私物の品評会にウンザリ

丸の内 毎日のロッカールームでも、「生きた心地はしなかった」と綾子さんは振り返る。 「制服に着替えるときに、みんな誰が何を着ているかのチェックがすごいんです。どこのブランドの新作でいくらだとか、限定品のバックだとか。しかも下着に至るまで(苦笑)。  私は、バッグだけはブランドものでしたが服や下着はプチプラのものばかり。値段発表会のときは、いつも『え~、可愛いのにそんなに安いの~?』『私も真似っ子しようかな~』と同期や先輩は言うんですが、明らかに好奇の目で見てるというか、バカにしてる感じでした」  彼女の初任給は手取り21万円。初任給にしては良い方だが、実家暮らしでもない限り、そこまで自由にできるお金はないハズだ。 「そうなんです! 私は家賃が8万9000円で、光熱費と携帯代が合わせて2万前後。そこから、毎日のランチが最低1000円の、飲み会が週2で1万円は飛んでいく。さらにみんなが着ているブランドもののワンピースは平均2万円。  正直、この感覚に合わせていたら、それこそ週末にキャバクラとかでバイトでもしないとやっていけない。貯金が多少あったから、まぁしばらくはやっていけるだろうと思いましたが、いつか必ず底をつくだろうな、と簡単に予想がつきました」

薄給なのに周囲はどうやって?

 周りに合わせ続けながらも、日に日に増していく違和感。悩んだ結果、綾子さんは入社3か月で退職を決意した。 「我ながら馬鹿げていますが(笑)。仕事自体もすごくやりたいことっていうよりも、ただ丸の内の会社だったから良かったというだけ。毎日の映えるランチも、お高い飲み会も苦痛でしかなかった。かといって断れる性格でもなかったんで、このままこの環境に身を置いていたら、自分がおかしくなるなって思ったんです」 「家庭の都合で急に実家に戻らなければならない」という理由で退職した彼女は、その後あれだけ毎日つるんでいた同期や先輩とは連絡すら取っていないという。 「インスタ上だけの付き合いだったってことですね(笑)。しかし、実家の子もいたけど、なんでみんなあんなにお金があったんだろう? 単純計算で月30万円あっても全然足りない使い方でしたからね。パパ活とかしてたのかな~」  丸の内OLを辞めてからは、フリーターを経て、現在はデザイン会社に勤めている。 「色んなアルバイトをして、デザインの仕事に興味を持ったんです。それで、今に至ります。我慢して丸の内OLをしていたら、今よりも年収は高かっただろうし、高スペックな男子を捕まえられたかもしれません。でも、その前にカードローン地獄に陥っていたかもしれない(笑)」  早めの判断が功を奏したようだ。 <取材・文/吉沢さりぃ>
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。『bizSPA!フレッシュ』『BLOGOS』などでも執筆。X(旧Twitter):@sally_y0720
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