激安シェアハウスに住む70代男性の波乱万丈、架空請求メールを信じ込み転落
恋愛リアリティーショーなどの影響で、ひとつ屋根の下で共同生活を送る「シェアハウス」に憧れを持つ人も多いかもしれない。しかし実際は、キラキラした若者たちだけの世界ではない。
前回の記事では、彼がシェアハウスに住むようになったきっかけを少し紹介した。今回は、なぜ彼がネットカフェ難民に転落していたのか、仰天の人生をインタビューしてみた。
「現在は朝4時に起きて他の住人を起こさないようにコロコロをかけて掃除します。5時にトーストを食べながらコーヒーを飲んでゆっくりし、その後ベッドで8時ぐらいまではゴロゴロしていますね」
現在の収入は年金のみという田中さん。歯医者にしばらく行っていないのだろうか、前歯が何本も欠けている。
東北出身で高校を出ると地元の有名な家具店に就職し、普通の暮らしをしていた。ある時など、水商売の女性と恋仲になって結婚まで考えていたそうだが、家族に猛反対された過去もある。ほかにも同棲した人は数人いたが、これまで結婚することはなかった。
田中さんは約5年前まで神奈川県内で建築業の仕事をしていた。ある日、携帯電話に見慣れないメールが送られてきたという。
『あなたはアダルトサイトにアクセスしていて料金を支払っていないようです。〇〇まで連絡してください』
普通の人なら完全無視するだけだが、田中さんは慌てて電話をしてしまう。
「実際にそのようなサイトにアクセスしたことがあったので請求されてしまったのだ、どうしようと思いましたよ。それで、こっちが悪いと思って電話しました。すると相手は『30万円を払ってくれないと訴えます』と言ってきたので、『それは困ります』と返したのですが……もしも30万円あったら振り込んでいましたよ」
架空請求やワンクリック詐欺はよくある手口だが、田中さんのような人がいるのでなくならないのだろう。
田中さんはお金が全然なかったので思案した。まずは警察に相談すればいいものを、彼は正月に「夜逃げ」したという。
「大家さんには申し訳なかったのですが、主な荷物はロッカーに入れて、安いネットカフェで寝泊まりしていました」
いわゆる“ネットカフェ難民”というやつだ。そこは夕方5時から朝までいれて1300円。とはいえ、部屋は狭く、他の利用者の大きなイビキが壁越しから聞こえてくるし、そのイビキにたいして「うるさいぞ、この野郎!」と怒鳴っている人までいる。廊下では喧嘩が始まることもあり、非常に不快な場所だったと振り返る。
東京都内の月2万5000円のシェアハウスに住む70代の男性・田中さん(仮名)。じつは、少し前まではホームレス同然のネットカフェ難民だったというのだ。シェアハウスに住む70代男性の激動人生
正月に「夜逃げ」、ネットカフェ難民に
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