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ネットカフェ難民の年末年始「この場所が未来だと思うと地獄みたい」

 正月三ヶ日が平日にあたるこの年末年始は、最大9連休となる人も多い。大型連休を利用して長期の旅行に行く人もいれば、帰省先で旧交を温める人、自宅で寝正月を堪能する人もいる。いずれにしろ、新年に向けて存分に英気を養いたいところだが、ふと気にかかることがある。過去に日刊SPA!で取材した貧困に喘ぐ人たちは、どんな思いで年末年始を迎え、そしてどんな過ごし方をするのだろうか? 改めて本人を直撃した。

山北さん。仕事にあぶれた年末年始は携帯電話の新機種を売りさばく“裏バイト”でしのいでいたという

山北辰治さん(仮名・38歳)日雇い製造業、年収120万円

「ネットカフェの“ゴミ屋敷化した半個室”に3年住む、37歳日雇いの窮状」で取材した山北さん。1万円で1週間の滞在が可能な激安ネットカフェに住み続けて3年、「年収100万円程度では、いつまでもこの生活から抜け出せない」と嘆いていた。そんな彼は年末年始にどう備えていたのだろうか。 「30代前半ぐらいまでは、年末年始のイベントのスタッフとかをやっていましたが、年齢的に採用されなくなりました。だからといって工場も28日頃には休暇に入ってしまうし、ほかの日雇いも年末年始が暇なやつや、学生連中が来るから、仕事になかなかありつけなかったりします。  普段から定期的に仕事をくれるクッキーの検品は『仕事ある』とは言ってくれているけど、それも定かではありません。結局社員どもは俺らみたいのを見下しているし『やっぱり汚い』みたいに思われる。前に『風呂入っている?』なんて言われたこともあるから、やっぱり好かれてはいないのは確か。結局、学生連中を雇うんだと思います」  とはいえ、仕事にありつけないままでは不安という山北さんは、これまで“裏バイト”で食いつないできた。 「携帯電話の新機種を売りさばいたりしてましたが、ソフバンのブラックリストに入ったのでもうできない。福袋の行列に並ぶホームレスをつれてくるバイト(1人連れてくると2000円もらえる)をやろうかな、と思っています。前回は5-6人ほど連れてきて、さらに自分も並んだら合計2万円ちかくになりました。これがあれば、ふつうにネカフェ代金を埋められるんすよ」

人がいないネカフェの中で…

 住んでいるネットカフェは年中無休で営業しているため、「正月も行列に並ぶ仕事が終われば夜は普通にネットカフェに戻るだけ」という。 「帰れる実家なんてないんすよ。片親で、今思えば毒親というか奔放な母だった。高校辞めたときから会ってないから、もう20年ぐらい経つのかな。同じ場所に住んでいるとは限らない。連絡先すら知らないから、まぁ、それでいいかなとは思っています。  ただ、この時期辛いのは、年末年始って、東京から人が減るでしょ? 日雇い帰りの朝とか、ネカフェの前とか全然人がいないんです。でも、店には似たような境遇のやつらがいて、漂流教室じゃないけど、日本社会でココだけ取り残されているのかな? というのをひどく実感します。俺らだけがココからまったく進んでいない。いや、年齢だけは進んでいるのが厄介。俺はまだ38だけど、50手前のおっさんとか、どうやっても汚い。これが未来予想図と思うと、地獄みたい。  前にSPA!の取材を受けた記事のコメント見たら『働けよ』『こんなの自己責任だろ』とか書かれてて……。そんなのわかっているけど、脱せない人の気持ちをまったくわかってない、高見の見物のやつらには本当にうんざりしました。救われない社会だし、俺もそれでやる気がでるわけでもないし、かといって誰か助けてほしい気持ちもあるけど、そこまで酷くないとも思っています。いまさら後戻りもできない……っていうか。このままゆっくり、死んでいくのかな」  常食にしているカップ麺が山北さんの年越しそば。人が消えた店内で、麺をすする音だけが虚しく響く。<取材・文/日刊SPA!取材班>
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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