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「自衛官候補生」の初任給が安すぎる…。働き方改革とは程遠い給与実態

その66 「働き方改革」とは程遠い? 自衛官の給与実態

「自衛官はいいお給料をもらっているのだろう」という幻想

自衛隊

陸上自衛隊Facebookより

 自衛官はあんなに大変な仕事をしているのだから、「きっと、いいお給料をもらっているのだろう」と多くの人が想像していると思います。「危険で厳しい仕事」「国家公務員」「政府の秘密を扱う特殊な仕事」といったフレーズがどれも危険手当、特別手当を伴う「高給」のイメージになるようです。  さらに災害派遣の現場などで、自衛官が不眠不休で働いている様子を目にすると、さぞかし残業手当・深夜残業手当・休日手当が加算されているのではないかと穿った目で見てしまいます。「あんなにキツイ仕事だからペイはいいはず!」とかつては私も無邪気にそう考えていました。でも、調べれば調べるほどそれが間違っていることに気付き、憤りを感じています。  自衛官の採用はさまざまな形態があり、幹部自衛官や航空学生、防衛医大を卒業した医官や特殊な技能がある技官などは任官後の早い段階で幹部自衛官になります。幹部自衛官の充足率は比較的高く任官した後の途中退職も比較的少ないようです。幹部と現場自衛官の間にはやはり「キャリア」と「ノンキャリ」に見られる違いがあるようです。  若さと体力が期待される現場自衛官は「自衛官候補生(任期制自衛官)」という採用枠です。採用後数年間を自衛官として過ごし、任期を終えた後は一般企業などで就職する期間限定の自衛官です。このもっともキツい仕事をしてくれる現場自衛官の初任給がいくらだと思いますか?  なんと! 月額13万3500円です。「へ? ふざけんなよ!」と思った人も多いでしょう。責任は重く危険を伴い、不眠不休で働くこともある自衛官に対して、国はこの程度の給与しか提示してなかったのです。  そりゃ、自衛官不足が深刻になりますよねー。自衛官候補生以外にも下士官である「曹」として退官年齢まで過ごす「一般曹候補生」採用の初任給も16万9900円でこちらもその仕事に見合った額とは思えません。自衛官に任官したばかりの「2士」という給与枠は教育隊に入り訓練を受けると順次、昇格し「1士」や「士長」となり昇給しますから、初任給が安くても問題ないだろうという人もいますが、初期段階での提示額がこれでは先が思いやられます。国はその程度の金額しか、国を守る「防人」に提示しないのかと情けなくなります。  厚生労働省の平成29年賃金構造基本統計調査によれば、高卒者の平均初任給は17.9万円(大卒20.6万円)です。厚労省の平均初任給より圧倒的に安い賃金です。深刻な自衛官不足になるのも当然です。国の自衛隊や国防力軽視がこの初任給提示に表れているかと思うと、怒りすら感じます。
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自衛官には残業手当も休日手当もないのに
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