お金

借金500万円男。派遣先のタコ部屋暮らしを振り返る

―[負け犬の遠吠え]―
ギャンブル狂で無職。なのに、借金総額は500万円以上。 それでも働きたくない。働かずに得たカネで、借金を全部返したい……。 「マニラのカジノで破滅」したnoteが人気を博したTwitter上の有名人「犬」が、夢が終わった後も続いてしまう人生のなかで、力なく吠え続ける当連載は60回目を迎えました。  今回はタコ部屋暮らしをお友達の家でゴロゴロしながら振り返るお話です。

久しぶりの東京へ

派遣労働

写真はイメージです

 三週間のタコ部屋生活から解放され、一週間が経った。働いている間は24時間のほとんどを完全管理下に置かれている状況に窮屈さを感じ、早く東京に帰りたいとさえ思っていたが、いざ東京に帰ってみると家がない。ホームレスの身の上を考えると、タコ部屋で働いているほうがいい環境だった。こんなに建物まみれなのに僕が気軽に入れる建物は存在しない。 「ちょっと家に荷物置かせてもらってもいい?」  もう9年になる友人にLINEを送る。  心理学の用語でフットインザドアというものがある。まず簡単な要求から通し、段々と要求レベルを上げていき、気づいたら大きな要求に応えてしまうというテクニックで、今回は最初にタバコの箱を置き、最終的に自分の寝床を獲得しようという算段だ。この手の話は連載を始めてからも何回かした気がするが、他人の施しが生活の大部分を占める僕にとってはとても重要になってくる。 「明日何時に出る?」  話が早い。荷物を置かせて欲しいと言っただけなのに少なくとも一泊はするということが完全にバレている。こう優しさから先回りされると、したり顔でフットインザドアとか考えていた自分が恥ずかしくなってしまう。 「いや、今はまだ無職期間だね」  タコ部屋労働が終わり、次なる仕事が決まるまでは無職だ。また知り合いに紹介してもらうまでは期限のない夏休みが始まる。最後にサラリーマンだった時から3年。僕は数週間から数か月、少なくとも半年以上は同じ仕事をしなくなった。  完全に味をしめてしまった。企業が不安定な時代だからではなく、体に合っていた。

「辞めます」と言った日の快感

 前の会社で「辞めます」と言ったあの日の快感が忘れられない。達成感、解放感、寂しさ、その全てが味わえた。これは1日だけのアルバイトでは中々体験できない。少なくとも職場での「絆」が生まれる必要がある。  僕の肌感覚からすると三週間、20日は欲しいところだ。そのくらいずっと同じ作業で汗を流していれば心の扉の閂もかなり緩まる。苦楽を共にし、嘘のプロフィールの中にも本音の思想が見え隠れする。無論人間関係なので合う合わないはあるのだが、それも含めて「絆」としている。  作業の終わりが見えているのもいい。上昇志向がなく、頑張った結果が何かよくわからないまま漠然と「自己成長」に取り憑かれて走ることができない僕にとって、終了日や納品と言ったわかりやすいゴールはありがたかった。学がないと目に見えるものしか追いかけられない。
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タコ部屋でできた友人
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