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COVIDー19、感染拡大! 日本の統計がすでに破綻している、これだけの理由

検査抑制でねじ曲がった統計

 パンデミックにおいて統計とは過去から現在を映す鏡であり、近未来を照らす松明と言えます。統計をみることで現状を正確に把握し、対策することでパンデミックの制御が出来ます。筆者が6月から8月冒頭にかけて東京の感染拡大状況を正確に予測できたのは、統計が曲がりなりにも機能していたが故です。筆者は、大本営陸軍部第2部参謀としてきわめて正確な情報分析と評価を行い「マッカーサー参謀」と渾名された堀栄三陸軍少佐と同様に、基本に忠実であるだけです。  実は、7/30の厚労省による全国の保健所への事務連絡*により多くの自治体では積極的疫学調査を取りやめる(縮小する)という世界でも日本唯一の検査抑制国策が強化され、8/1以降はほぼ全国で統計が根本的に変わりました。  結果として8/1以降の統計は見かけ上増加傾向が抑制されていますが、これは統計母集団の変更による虚像です。本邦の日毎新規感染者数統計は8/1をもってこれまでと全く別物となっており市中感染者数の継続した傾向を示さず大幅な過小評価をしていることが8/1以降の統計の推移から分かります。これにより実効再生産数など重要指標が全く無意味な数字になりました。  7/31以前の傾向で外挿すると8/6〜8/13に本邦は、合衆国を追い越している可能性があり、世界最悪と言える状況です。政府の発する楽観的誤情報によって市民は楽観的な行動をとっており、このままでは9月から10月にかけて悲惨なことになりかねません。 <*参照 ●「感染拡大地域の積極的疫学調査における濃厚接触者の特定等について」について(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部 2021/07/30) ●感染拡大地域の積極的疫学調査における濃厚接触者の特定等について(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部 2021/06/04) ●東京のコロナ感染者急減、「積極的疫学調査」縮小したから? 専門家は「無関係」2021/02/07 東京新聞
日本における積極的疫学調査縮小による8/1以降の統計への影響

日本における積極的疫学調査縮小による8/1以降の統計への影響。日本と合衆国における百万人あたり日毎新規感染者数の推移(ppm,7日移動平均,片対数)2021/06/01-2021/08/09/出典:OWID

始まった統計の崩壊

 α株による第4波エピデミックによって医療崩壊をおこし、多数の重症患者が医療から排除され自宅等で死亡したことが知られる大阪府では、百万人あたり日毎新規感染者数が4/10〜5/15に渡って1か月ほど「富士山型」と言うべききわめて不自然な推移をとりました。同様のことが沖縄県、神戸市、札幌市で発生しました。これらは明確に検査がウイルスに圧倒され、統計が飽和するという統計崩壊を示しています。  8月に入り、島嶼部を除く東京都全域と神奈川県、関西の一部で統計の飽和=統計崩壊の兆候が強く現れています。但し、4月の大阪の際もそうでしたが、見極めには2週間程度かかることと、お盆休みによる影響でまだ「統計崩壊の可能性がきわめて高い」という状況に留まっています。  4月の大阪のように統計が崩壊した場合も関連する別統計から復元することが可能で、この場合は死亡日別死亡者数統計から復元できます。但し通常は、数日程度で確定する死亡日別死亡者数統計は、医療機関、保健所、自治体の事務処理能力が飽和してしまい、大阪の場合は確定までに60〜90日を要する状況です。また変死扱いの死者も多く、各都道府県警の集計で100人単位のCOVID-19による医療の庇護下にない死者が見つかっています。  第4波での大阪府における死亡日別死亡者数統計は、そろそろ確定しますが、暫定的な試算では、大阪府の日毎新規感染者数が見かけ上1000〜1200人で頭打ちであった区間は、現実には2000〜3000人であったものを過小評価している可能性が高いです。
統計崩壊=統計飽和の実例

統計崩壊=統計飽和の実例。大阪府 百万人あたり日毎新規感染者数(人,7日移動平均,線形)2021/03/21-2021/06/01/出典:Toyo Keizai Online “Coronavirus Disease (COVID-19) Situation Report in Japan”

 現在日本政府は、完全に失敗に終わった検査抑制政策を惰性で継続しており、積極的介入を行う意思もありません。この様な状態では犠牲は増え続け、統計の崩壊は進行するばかりです。外出は止めて同居家族だけで家で過ごすことを強くおすすめすると共に、お盆休み明け後も可能な限りテレワークや時差出勤を行ってください。 <文・調査・分析/牧田寛>
まきた ひろし●Twitter ID:@BB45_Colorado。著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中
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誰が日本のコロナ禍を悪化させたのか?

急速な感染拡大。医療崩壊。
科学者視点で徹底検証!

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