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たばこ値上げでもめげない喫煙者たち。もはや意地と根性で「吸い続ける」

禁断症状で自問自答「それでいいのか?」

タバコ「日々のニコチン摂取量を減らしてから完全禁煙に移ったおかげか、意外と耐えられています。辛かったのは最初の2日間だけですね。そこが山場でした。僕は気合で乗り越えましたが、素直に禁煙外来へ行ったほうが楽なんだろうなと思います」  辛かったという山場の2日間は、憂鬱な気分に悩まされていたそうだ。 「快楽を奪われたような、気持ちの昂ぶりを禁じられた感覚でした。そのうち、辛くなったもう一人の自分が、『お前……たばこを吸わないと、この気持ちをずっと味わい続けるんだぞ……? それでいいのか……?』って問いかけてくるんですよ。さらに我慢を続けていると、『自分は宇宙に存在する一粒の砂なんじゃないか』って、スピリチュアルな気持ちにもなってきて……。休みの日に合わせて禁煙を始めたので、寝て逃げることでギリギリ耐えられました」
ログ

一樹さんが使用している禁煙アプリのログ

 一樹さんのように気合だけで禁煙に成功している人は多くないだろう。彼自身、「VAPEを使って事前準備をしていたから耐えられたけど、そうでなければ不可能だったはず」と語る。  実際にいきなり禁煙した一樹さんの同僚も、1週間ともたずに挫折してしまったらしい。 「職場の若年層は吸わない子たちばかり。僕の同僚も含め、もう一部の“訓練されている猛者たち”しか残っていないんじゃないですかね(笑)。吸いたい人は無理してやめる必要もないとは思います。僕も値段が元に戻れば、また吸いますよ」  かの有名作品『進撃の巨人』の1コマにならうなら、国・地方合わせて総額2兆円の財源を担う現在の喫煙者たちは「ツラ構えが違う」というやつだろうか。政府が発表している次回のたばこ税増税は、来年2022年の10月(加熱式たばこのみ)。愛煙家の意地と根性が試される…といったら大げさか。 <取材・文/倉本菜生>
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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