更新日:2022年01月06日 14:38
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コロナ禍の貧困の現実…NPO法人の年越し炊き出しに密着した

任侠で床屋ボランティアになった男性も

 鍼灸院経営の傍ら、はり・きゅう・マッサージスタッフとして主催者側で参加するBさんは現在72歳。17年前から活動に参加し、リーマンショックの時にもスタッフとして炊き出しの現場に携わっていた。 「昔は地方から出稼ぎで東京に来た60代くらいの方が多かったですが、コロナ流行後は30代、40代の人も多いです。女性の姿も目立ちますね。はり・きゅうで利用される方の四分の一ほどは女性です」  今回最も印象的だった参加者が、正式なスタッフというわけでなく、自発的にボランティアをしているという70代後半のCさんだ。Cさんはバリカンなどの散髪道具を携え、生活困窮者の髪を無償で整えているのだという。  活動歴はなんと24年。好々爺という風貌だが、気風がよく、話していて清々しい。元々は極道で生計を立てていたが、お世話になっていた人から生活困窮者の役に立つよう言われて、活動を始めたのだという。 「今はひと月に2、3回だけど昔はほぼ毎日活動してたよ。多いときはひと月で200人くらいの髪を切ってたね。中には『おじさん、仕事見つかりました!』なんて若いやつもいて、そういうときは嬉しんもんだよ」  彼を慕う人も多いらしく、周囲には人が絶えない。公助の行き届かない今、昔ながらの人情で保たれている営みもあるということだろう。

「日本の底が抜けた」2020年、そこに続く今

「炊き出し」として活動しているが、実際は公園管理課との交渉により、火を使わない形での弁当の配給を行っている

心身の病の相談にも乗る

 NPO法人TENOHASI事務局長の清野賢司(59)さんは都内中学校の社会科教員として勤務していたなか、2004年に起きた10代の若者によるホームレス暴行死事件に衝撃を受け、学校教育の現場からホームレス問題を扱い始めた。2017年からはTENOHASIの活動に専念しており、貧困問題の最前線を知悉(ちしつ)する。 「リーマンショックの頃と違うのは、飲食や観光を中心に非常に広範な職業と年代に貧困が拡大しているということです。若い人も非常に多い。女性の割合も増えました。昔は1%くらいでしたが、今は10~20%の間というところです。DVや家庭の問題とも絡み合っています」 「日本の底が抜けた」ともいわれた2020年だが、参加者が激増したのは今年になってからだったという。 「2020年は増えたなとは思いましたが、何割増といった程度でした。去年は200人程度が平均だったのが、今年は正月から300人は並ぶようになり、350、400と増え、今では450人を超えるのが当たり前になりました。つい先月はTENOHASI始まって以来の472人が炊き出しに並んだんですね。生活相談者も一昨年の三倍です。今日は新記録を更新するかもしれないですね」
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限られた食糧でやりくり
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