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今の段階で皇位継承問題について決めておかねばならない理由/倉山満

秋篠宮家から皇位を取り上げたいという人以外には、誰もが納得できる案だ

言論ストロングスタイル

有識者会議の清家篤座長(左)から報告書を受け取る岸田文雄首相。いかに調和のとれた提案も、各党の足並みが揃わず、議論が棚ざらしになってしまっては、元も子もないが―― 写真/産経新聞社

 相変わらず、誤報だらけだ。本欄では逐一追いかけてきた、「例の会議」の話だ。皇位継承に関する有識者会議、正式名称は、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議。  平成29年に皇室典範特例法を制定して上皇陛下の御譲位を実現した。その際に国会が「政府は安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について……検討を行い、その結果を国会に報告すること」との附帯決議を行った。  安倍内閣の間は何の動きもなかったが、菅内閣になり、昨年一年かけて会議が行われ、報告書がまとめられた。そして今年1月12日に岸田文雄首相は、衆参両院議長に報告書を手交。今後は、各党派での議論に委ねられることとなった。  さて、この報告書の内容を「先送りだ」と批判する向きが多い。何か誤解があるのだろう。確かに皇室に関する前提知識がないと理解しがたい内容だが、丁寧に読み解けば極めて調和のとれた提案だと理解できるだろう。  世の中には、「何が何でも秋篠宮家から皇位を取り上げたい」という変わり者もいようが、そのような人たち以外には誰もが納得できる案だ。

皇室とは先例によって出来上がっている世界

 まず大前提を共有しなければ、無限大に平行線だ。四つ述べる。  第一に、相手が誰であれ、他人の家の話に口を出すなど、本来は失礼極まりない。ただし、皇位継承とは日本の歴史を続けるか否かの問題であり、古代より政治におけるもっとも重要な争点であった。それを自覚し、礼を失しない言動においてのみ自由な発言が許される。  第二に、絶対子供が生まれる技術が無い限り、いかなる制度だろうとも、皇位の「安定的」継承などありえない。世襲制をやめてしまうなら別だが、日本の歴史を守ろうとするならばこの困難と向き合わねばならない。これまで2682年、一度も途切れることなく歴史を続けてきた事実に価値を置くのが大前提である。  第三に、皇室について語る際は、先例に基づかねばならない。皇室とは先例によって出来上がっている世界なのである。これまでの日本の歴史において皇室が続いてきたのは、時の権力者の意向や一時の多数決を跳ね返してきたからだ。いかなる権力者も乗り越えられなかった先例がある。そして、神武天皇の伝説以来一度も例外なく継承されてきた先例が、皇位の男系継承である。
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日本国憲法に合わせて皇室の歴史を捻じ曲げるのは本末転倒
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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