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安倍政権から始まったデータ改ざんの深刻度<弁護士・明石順平>

「統計庁」の設置を

―― 今回の統計不正に関して、多くのメディアが統計「書き換え」と報じています。しかし、これは明らかに「改ざん」ですから、書き換えではなく改ざんという点をもっと強調すべきだと思います。 明石 メディアが統計書き換えと書くのは、政権に忖度しているからとしか思えません。統計改ざんと書き、政府から文句を言われるのを恐れているのでしょう。  一部では、国交省の役人には犯意(罪を犯す意思)はなかったのだから、「改ざん」と表現するのはおかしい、などと言っている人もいます。しかし、わざわざ消しゴムで消して数字を変えているのだから、犯意があったに決まっています。なぜそこまでして安倍政権を擁護するのか、理解に苦しみます。 ―― 統計問題は臨時国会で取り上げられ、岸田政権は釈明に追われました。岸田総理は安倍総理や菅総理とは違うタイプの政治家に見えますが、彼がこの問題の解明に乗り出すことは考えられませんか。 明石 誰が何のために改ざんを指示したのか、この点を突きつめていけば安倍元総理にたどりつく可能性があります。岸田総理は政権基盤がぜい弱で、安倍の意向を無視できないので、そこまで踏み込むことは難しいと思います。  ただ、岸田政権の人事を見ていると、思ったほど安倍の言いなりにはなっていません。むしろ安倍の要求をはねのけています。おそらく岸田さんは内心では安倍のことを嫌っているのでしょう。だから、安倍のことが邪魔だと思えば、調査に乗り出す可能性もないとは言えません。来年の参院選が終わればしばらく大型選挙がないので、コロッと手のひらを返すかもしれません。  とはいえ、最終的にはやはり政権交代が必要です。自民党には統計問題にメスを入れることはできないと思います。  しかし、いまの野党は頼りにならないので、見通しは暗いと言わざるを得ません。 ―― 今後、統計不正が起こらないようにするためにはどうすればいいですか。 明石 多くの人が指摘していることですが、新たに「統計庁」のような官庁を設置し、統計については一括してそこに任せるというのが一つのアイデアだと思います。その場合、政権が統計庁に介入できないように、会計検査院や人事院と同じく独立性を担保することが重要になります。  統計は政策を作るための重要な土台です。これが改ざんされれば、政策について議論することができなくなってしまいます。二度とこうしたことが起きないように、政府にはきちんとした対策をとってもらいたいと思います。 (1月6日 聞き手・構成 中村友哉 初出:月刊日本2月号) 明石順平(Twitter ID:@junpeiakashi) あかしじゅんぺい●弁護士。1984年、和歌山県生まれ、栃木県育ち。東京都立大学法学部、法政大学法科大学院を卒業後、現職。主に労働事件、消費者被害事件を担当。ブラック企業被害対策弁護団所属。ブログ「モノシリンの3分でまとめるモノシリ話」管理人
げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。
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月刊日本2022年2月号

【特集1】天皇危うし! 存続の危機に立つ皇室
【特集2】統計の改ざんは国家による犯罪だ

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