ドムドムハンバーガーが“攻めすぎ”なバーガーを出し続けるワケ。丸ごとカニ、はみでるアジフライetc.
ドムドムハンバーガーは1970年創業の日本最初のハンバーガーチェーンとして知られる。あまりに独特すぎるその商品がネットを中心に話題になり続けたこともあり、近年カルト的とも言える注目を集めている。その“仕掛け”の裏側に迫った。
稲田:ドムドムハンバーガーって日本で最初のハンバーガーチェーンなんですよね。
浅田:はい、最初は米国マクドナルドと提携の話が進んでいたのですが、うまく進まず、自分たちで純国産チェーンを展開することになったようです。私は’97年からドムドムに関わることになり、そこで当時、商品開発アドバイザーとしてドムドムに関わり始めたばかりの現在の社長、藤﨑忍と出会いました。
彼女はとにかく意志の強い人でしたね。それまでのドムドムの商品開発は、とにかく場当たり的だったんです。世間で高価格のプレミアムバーガーがはやるとすぐそれに追随し、やってみて売れないと今度は低価格路線に舵を切る、みたいな。
そこを藤﨑は、地域密着型の庶民派チェーンであるドムドムは他社にない「和の要素」を打ち出すという信念を持って商品を作り上げていったんです。
稲田:なるほど、そこで生まれた商品が当時大ヒットし、今も定番商品として続いている「手づくり厚焼きたまごバーガー」ですね。
浅田:そうです。藤﨑は和風路線として「たまご焼きバーガー」は絶対にやりたいと主張しました。「たまご焼きが嫌いな日本人はいない!」と断言して(笑)。
稲田:ああ、それであれは決して「オムレツバーガー」ではなくて、ダシが効いてほんのり甘い「たまご焼き」なんですね。それにしてもあれ、注文ごとに店舗で焼いていると聞きました。普通、チェーン店ではそこまでやりませんよね。
浅田:最初は(業務用の)既製品を使うことも検討したんですけど、あれ、意外と高いんですよね。
稲田:その割にそんなにおいしくない……。
浅田:なので藤﨑が味を決めて、私がそれを店舗オペレーションに落とし込みました。加熱はほぼ電子レンジで、なおかつ変色しないように調味料などを選定して。
稲田:電子レンジだったんですか。確かに配合次第で電子レンジでも卵はふわっとなりますしね。調味料の配合でpH(酸度)を調整して、仕上げは鉄板で両面を焼く?
浅田:そうです。おかげさまで当時爆発的に売れ、今でも安定した人気になっています。
稲田:最近、「だし巻きサンドウィッチ」がちょっとしたブームですけど、完全に先駆けてますよね。先見の明!
浅田:いや、そんな意識はなかったと思いますよ(笑)。ただただたまご焼きバーガーを世に出したかっただけ。
「元大手」復活のカギを握るアイデアマン
「手づくり厚焼きたまごバーガー」誕生のウラ側
関東・東海圏を中心に和食店、ビストロ、インド料理など幅広いジャンルの飲食店26店舗を経営する円相フードサービス専務取締役。自身は全店のメニュー監修やレシピ開発を中心に業態や店舗プロデュースを手がける
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