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映画監督がパワハラを犯した過去を告白「人格を否定するような罵倒をしていました」

ハラスメントを予防するために

パワハラ――数々の問題が発覚し、映画業界だけでなく、さまざまな分野からハラスメントに反対する声明が寄せられるようになってきました。 古澤:素晴らしい取り組みだと思うし、応援しています。一方で、僕は特殊な人たちを排除したら日本映画が健全になるとは思っていません。きちんと外部からの視線にさらされ続けなければ、日本映画は改善されないのではないでしょうか。 問題の事例として、批判的な目線で僕の発言をみなさんに受け止めてほしいと思います。被害者からすればきっと、僕が語ったよりもひどいことを感じてきたはずです。 ――古澤監督が現在、ハラスメントの予防に取り組んでいることはありますか? 古澤:昔の反省を踏まえ、今では現場に入る前、スタッフに対して「この現場でハラスメントに該当することはしないでください」と呼びかけています。当然、監督である自分が加害者になりうることも伝え、その部分についてはきちんと指摘し合えるフラットな関係を心がけて欲しい、と言っています。 自分が問題行為を目撃したら、その場で本人に注意する。あと、セクハラにならないよう、女性キャスト、スタッフと2人きりにならないようにしていますね。話があって食事に行くとしても、必ず第三者についてきてもらっています。

パワハラを受けたスタッフには「とても謝りきれません」

――監督がハラスメントを行った方々に、今何を思っていますか。 古澤:非常に申し訳ないことをしてしまいました。謝罪の言葉すら難しいです。自己中心的になり、スタッフのみなさんへの敬意を欠いたことは、とても謝りきれません。なかったことにはできないし、今後もずっと背負っていくしかないと思っています。 ========= 筆者自身も潔白な人間ではない。私は主催したイベントで関係者を低賃金で働かせてしまった。映画制作に関わり、スタッフに圧をかけたこともある。筆者はこれまで映像業界の労働問題について何度も言及してきたが、そのたびに「自分にその資格があるのか」と葛藤し続けてきた。 ハラスメント問題では誰もが被害者にも、加害者にもなりえる。加害者を強く批判し、改善を求めることはもちろん大切だ。それと同時に、「自分はどうか」と少しでいいので顧みる時間を作ってほしい。過去の問題に気づくために。これからの問題を生まないために。 【古澤健】 1972年生。映画監督。助監督や脚本家を経て2004年に『ロスト★マイウェイ』で商業映画の監督デビュー。代表作は『アナザー Another』『今日、恋をはじめます』『クローバー』『恋と嘘』など。ピンク映画、TVドラマにも進出。 取材・構成/石塚就一
1984年生。京都府在住。かつて勤めていた劇場でパワハラ被害に遭い、日本の映像業界のあり方に疑問を持ち始める。以前は映画ライターとして活動していたものの、現在は業界に見切りをつけ、ボードゲームとヒップホップの取材を続けている。
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