更新日:2022年09月26日 18:21
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全身が動かなくなる難病ALSに、初の治療法。「自力で寝返りを打てた」例も

失われた運動が回復した初めての例

「ALS患者では、過去いかなる治療を行っても症状の改善は得られていません。 本症例では点滴初回で嚥下機能の改善がみられ、食事がしやすくなり、食事量も増えています。また一人で寝返りが可能になり、介助下ではありますが立つことができるようになった。下肢の筋力が増強したことがうかがえます。  関節可動域の拡大、下肢の筋力増強と自発運動の回復は、ほかの改善例にもみられる共通した現象です。 ALSの典型的な症状である痙縮は発症後、強直は緩むことはなく関節可動域の拡大はえられないとされている。さらにいったん失われた自発運動が回復した例はない。 今回の2例でみられた所見はきわめて重要かつ価値のある症状変化で世界初の快挙といえます」

ALS以外の難病にも有望な治療法

 ALSの症状を改善させたというだけでも快挙に思えるが、ステム・セル・フリー治療はALSだけでなく、有効な治療法のない難治性の疾患に対しても、培養上清が有望な治療法となり得るらしい。  後編では、ほかの病気に対するステム・セル・フリー治療について聞いてみた。 <上田実 文/宍戸幸夫>
医学博士。専門分野は再生医療・顎顔面外科。 1949年生まれ。1982年名古屋大学医学部大学院卒業後、名古屋大学医学部口腔外科学教室入局。同教室講師、助教授を歴任し、1990年よりスウェーデン・イエテボリ大学とスイス・チューリッヒ大学に留学。1994年名古屋大学医学部教授就任、2003年から2008年、東京大学医科学研究所客員教授併任。2011年よりノルウェー・ベルゲン大学客員教授。2015年名古屋大学医学部名誉教授就任。日本再生医療学会顧問、日本炎症再生医学会名誉会員として再生医療の研究と臨床の指導にあたる。株式会社再生医学研究所代表。近著に『改訂版・驚異の再生医療
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