ALS患者・関係者が選ぶ「ベスト・オブ・アイス・バケツ・チャレンジ」

こう話すのは日本ALS協会事務局長の金澤公明氏。ALS患者のメンタルサポートやコミュニケーション支援機器の貸し出しなどを行っている同協会には、山中教授が2つの桶で氷水をかぶる動画がアップされた翌日の8月18日から、「寄付したいが、振込先がわからない」という問い合わせが殺到。そのため、東日本大震災のときに開いた募金口座を、今回の寄付口座に代用する形で対応したのだとか。 もちろん、山中教授一人の力で支援の輪が広がったわけではないが、難病治療に携わるノーベル賞受賞者の“チャレンジ”はALSに関わる人たちを大いに勇気づけたようだ。 一方、洒落た演出でALS患者たちから注目を集めたのはマイクロソフト創業者のビル・ゲイツだ。 「少ない力で氷水をかぶるための機械を自作したのは、さすがだなと思いました。ALSは症状が進行すると手足が動かなくなっていきます。そんなALS患者に近い立場で氷水をかぶって見せたのだと思います」(河田氏) ⇒【動画】「ビル・ゲイツのアイス・バケツ・チャレンジ」http://www.youtube.com/watch?v=XS6ysDFTbLU
そんな意図があったのかどうかは定かでないが、ビル・ゲイツのチャレンジ動画は実に凝っている。マーク・ザッカーバーグが自分を指名する動画をマイクロソフトの「Surface」で見るところから始まり、中盤では自らバーナー片手にアイス・バケツ・チャレンジ専用マシンを自作。自社製品のCMを紛れ込ませながらも、茶目っ気たっぷりの動画を作り上げているのだ。 ちなみに、マイクロソフトは今年のスーパーボウル(NFL王座決定戦)向けのCMに、元NFL選手でALS患者のスティーブ・グリーソン氏を起用している。同氏が「Surface」とアイトラッッキングシステム(目線で文字入力する機器)を利用して家族とコミュニケーションを図っている様子をCMにし、マイクロソフトのテクノロジーが医療分野でも活用されていることをアピールしたのだ。こうした取り組みを踏まえて、ビル・ゲイツ流アイス・バケツ・チャレンジを見直せば、強いメッセージ性を感じずにはいられない。 このように、あまたの著名人がアイス・バケツ・チャレンジに挑戦しているのだが、忘れてならないのはALS患者自身も氷水をかぶっているという事実。藤田氏は「皆さんのチャレンジ動画に毎回感動しています。本当にどれも素晴らしい動画ですが、中でもALS患者や家族がALSに拷問され、殺された方々からのくやしさ溢れるメッセージは印象的です」と話すのだ。 その一例は、6分50秒にもなるアンソニー・カルバハルの動画。冒頭こそ、女装した男性によるふざけた動画にしか見えないのだが……開始2分でアンソニーの表情は一変。祖母、母親もALSを発症した“ALSの家系”で、ついに5か月前に自身もALSと診断されたことを告白し、号泣するのだ。言葉をすべて理解できずとも、見入ってしまうだろう。 ⇒【動画】「アンソニーのアイス・バケツ・チャレンジ」http://www.youtube.com/watch?v=h07OT8p8Oik
ちなみに、藤田氏もアイス・バケツ・チャレンジに挑戦しているのだが、気管切開しているため、肺に水が入ったりしないよう危機管理を徹底したうえでのチャレンジだった様子。今後も支援の輪を広げていくために多くの人に挑戦してもらいたいところだが……くれぐれも無茶だけはしないように気を付けてもらいたい! ⇒【動画】「藤田氏のアイス・バケツ・チャレンジ」http://www.youtube.com/watch?v=pDDyCONet8o
<取材・文/池垣 完(本誌)>
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