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国民民主党に必要なのは「政権交代を実現する」意思を示すこと/倉山満の政局速報

 7月10日に投票が行われた第26回参議院選挙。日本近現代史の専門家である憲政史家・倉山満氏は「国民民主党は、衆院選で自民党でも立憲民主党でもない第三の選択肢として支持を得たが、その後は与党寄りの姿勢が目立ってしまった」と、今回の選挙で2議席減らしてしまった要因について指摘した(以下、倉山満氏による寄稿)。
国民民主党開票センターで、公認・推薦候補の当選者を知らせる(写真左から)榛葉賀津也幹事長、玉木雄一郎代表、前原誠司代表代行兼選挙対策委員長

国民民主党開票センターで、公認・推薦候補の当選者を知らせる(写真左から)榛葉賀津也幹事長、玉木雄一郎代表、前原誠司代表代行兼選挙対策委員長 写真/国民民主党公式ツイッターより

賭けに敗れた「国民民主党」

 参議院選挙で日本の政治は決まる。  それを、岸田首相と与党は自覚していた。自民党総裁選でも、目前に迫っていた「衆議院選挙を勝ち抜く」と言うところを、思わず「参議院選挙を勝ち抜く」と言ったほどだ。早くから、参議院選挙を勝てば「黄金の三年間」が訪れると、準備していた。  一方、野党はバラバラに戦った。弱い方がバラバラで強い方に勝てる理屈が無い。野党は負けるべくして負けたのだ。  その中でも、衆議院選挙で善戦した国民民主党は、今回の参議院選挙で2議席減らした。衆議院選挙では、自民党でも立憲民主党でもない第三の選択肢として支持を得た。また、「なんでも反対」の従来の野党ではなく、正論を与党に提言する姿勢が有権者の支持を得た。  だが、その後は与党寄りの姿勢が目立った。予算に賛成する代わりに、トリガー条項の凍結解除(ガソリン値下げ)を要求したが、ものの見事に「食い逃げ」された。選挙においても、自民党の協力は得られず、苦戦を強いられた。  一言で総括すれば、「賭けに敗れた」だ。

自民党にすり寄っても、買いたたかれるだけ

 仮にガソリン値下げが実現すれば、景色は違って見えただろうが、壁は厚かった。では、どうするか。  真の意味での是々非々を貫くべきだろう。真の意味の是々非々とは、「好きな時に拒否権を行使する」だ。だが国会の数では、自民党は足りている。しかも連立与党に公明党までいる。自民党にすり寄っても、買いたたかれるだけではないのか。たとえば憲法改正には国民民主党の力が必要とされようが、公明党が協力しなければ不可能だ。それに岸田首相も、熱心とは思えない。  ならば、健全野党の道を歩むしかないのではないか。事実、衆議院選挙ではそういう役割が期待されたのだから。  岸田首相が黄金の三年間を得たということは、その間にマトモな野党を作れるはずだ。国民民主党に必要なのは、「政権交代を実現する」との意思を示すことだろう。この参議院選挙において、「当分は政権交代が実現しない」「与党でも野党でも、政策が実現すればいい」との発言が漏れ聞こえてきた。ならば有権者は自民党を選ぶのではないのか。
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自民党に対抗できるマトモな野党、ゆくゆくは二大政党の一角を求められているのではないか
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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