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長渕剛の“愛国心”はどこから生まれたのか?“貧しさ”を歌っていた時代からの変化

外国人による土地の購入を危惧するMCが話題に

長渕剛

長渕剛『Stay Alive』

 長渕剛のある発言が話題を呼んでいます。自身のYouTubeチャンネルで公開した札幌公演のライブ動画で、外国人による土地の購入を危惧するMCシーンがあったのです。 <この北海道という街は、その昔、開拓民たちが一生懸命に開拓した街だ。お願いだから、この自然に満ち満ちた土地を、外国人に売らないでほしい!> <お金にまみれないで、心を一つにして今こそ、僕たちの先人たちが築いてきた共有する心や、和合する心や、そういう日本人の美しい気持ち、それを大事にして、またここから5年10年15年100年と一緒にやっていこう>  この言葉に多くの観客がうなずき涙ぐんでいました。さらに10月2日には自民党の片山さつき参院議員が賛同。<素晴らしいと思います。敵は狡猾ですが、国民の共感があれば戦えます。>と自身のツイッターに記したのです。

歴史を振り返れば、日本人が“狡猾な敵”の時代もあった

 前提として個人がどのような思想信条を持つかは自由であることは押さえておきましょう。また、長渕、片山両氏の発言が主に中国人を想定していることも想像に難くありません。そうしたシナリオで現状の日本を憂うこと、これもまた自由です。  けれども、少し歴史を振り返れば、外国人がよその国の土地や不動産を買い漁ることなど珍しくないことがわかるはず。バブル末期にニューヨークのロックフェラーセンターやエンパイアステートビルを買ったのはどこの国の人だったでしょうか? 他ならぬ私達日本人こそが、“狡猾な敵”として傍若無人に振る舞う時代があったことを忘れてはいけません。  さて、そのうえで考えたいのは長渕氏の“愛国心”と音楽性についてです。思想と作風が一体化している昨今の氏をどうとらえたらいいのか。  そこにビルドアップされた肉体が与える影響も小さくなさそうです。なぜなら、ワークアウトの前後では作風に大きな断絶があるように感じられるからです。
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1989年の曲では“貧しさ”を描写していた長渕
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