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自己破産を経験した47歳元パチプロ「精神的に追い詰められて勝てなくなった」

窮地を救った意外な人物

 雪だるま式に増える借金、うだつの上がらない毎日。もはやこれまで……と追い詰められた松田さんを救ったのは、意外にも散々小馬鹿にした前職の同僚だったという。 「ある日、新宿のパチンコ屋で打ってたら、偶然元同僚と会ったんだよ。その時は、おお!久しぶり!くらいだったけど、閉店まで打って換金所に並んでたらまた会って、お互い勝ったし飲みに行くか……みたいな感じで、そのまま飲みに行ったの。  飲みながらいろいろ話してたら、向こうから『あんまりイイ話を聞かないけど、大丈夫?』って。悪い噂は広まるのが早いんだよ。それで、辞めてからの話をしたら『とにかくヤミ金は弁護士に頼めばなんとかなるから』って、借金に強い弁護士の連絡先とか教えてもらったんだよね。編集部にいた頃に飲んだこともなかったし、当時はバカにしてたし、それなのにすごくよくしてくれた」  結局、松田さんはヤミ金意外にも300万円近い借金があったため、自己破産する道を選ぶことに。一から出直しを決意し、夜間の配送ドライバーとなった。 「もうパチンコも編集も諦めて地に足着けて仕事しようって。コンビニとかに深夜配送するドライバーになった。夜中、あんまり混んでない都内の道を運転していると、なんだか心が落ち着いて、すごくしっくりきた。なんだかんだで10年以上続いているから、合ってたんだよね、トラックの運転手って職業が」

しくじりのポイントはどこにあったのか?

 では、松田さんの“しくじりポイント”はどこにあったのだろうか。 「あとちょっとの我慢がなかったことと思い上がりじゃないかな。最初の編集部もあと1年我慢したら社員にしてやるって言われたけど、それが信用できなくて辞めちゃった。でも、それでも我慢して残ったヤツは、後に社員になってた。  次の職場も周囲のヤツらに合わせる我慢が必要だったしね。プロ時代もメンタルがヤバい時は打たないで我慢して、流れが良くなるまで待てばよかった。就職活動ももっと粘って頑張ればよかったと思うよ。ダメだと思うと、すぐに別のことをして結果や成果を求めちゃう性格がよくなかったんじゃないかな」  どこか木訥とした口調で、荒れ狂った己の人生を語ってくれた松田さん。最後は笑顔で「パチンコじゃなくて、最初から車のハンドル握ってりゃよかったよ(笑)」と笑いながら酎ハイを飲み干していた。 取材・文/谷本ススム
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
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