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椎名林檎、グッズ炎上への“遅すぎる”対応で失った「ふたつの信用」

あまりの“遅すぎる”対応に厳しい声

椎名林檎

改訂前のアルバム特典グッズ(画像:ユニバーサルミュージック 販売ページより)

 ヘルプマークと赤十字に酷似していると議論を呼んだ椎名林檎のグッズ騒動が一応の解決を見ました。10月18日にUNIVERSAL MUSICがデザインの変更とリミックスアルバム『百薬の長』(当初は11月30日発売予定)の発売延期を発表。しかし、問題が発覚した10月7日から10日あまりの“遅すぎる”対応に厳しい声があがっています。  その間、ヘルプマークを使っている高校生が見知らぬ男から“それ椎名林檎のグッズ?”と訊かれた出来事がネットニュースで話題になったり、NHKや民放各社もニュースで取り上げるなど、事態が大きくなってしまったのです。    見解を表明しなかったアーティストの態度も不信を招きました。  椎名林檎といえば総合プロデューサー的な才能の持ち主だと知られています。楽曲のみならず、映像、ステージングに至るまで、あらゆる表現に卓越した美意識が反映されている。  だからこそ椎名氏が東京五輪パラリンピックのプロジェクトチームに参加することに大きな期待が寄せられていたのですね。<国民全員が組織委員会>(『朝日新聞』2017年7月24日 インタビューより)との発言も説得力がありました。  その椎名氏があえてヘルプマークや赤十字マークをモチーフにするのだから、何らかの根拠があるに違いない。倫理的な問題はさておき、言い分には耳を傾けるべきだろう。そう思うから彼女の言葉を待ち続けたわけなのですね。

椎名林檎はグッズ制作に関わっていなかった?

 ところが、その期待はあっさりと裏切られます。18日のUNIVERSAL MUSICのプレスリリースに思わぬ文言があったのです。   <今回の【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤】の付属グッズは、内容及びデザインを弊社で企画検討したものです。>  にわかには信じがたい一文でした。全方向からブランドイメージの向上に努めてきたマルチアーティストが、安価ではない特典グッズの制作に関わっていないなんてことがあり得るのだろうか?  レコード会社の発表が事実だとしたら、椎名氏自身もある意味では被害者ということになります。自身がチェックも許可もしていないところで評判を落とされたのですから、怒りを表明したとしても世間は納得するでしょう。     一方で、椎名林檎の面子を保つ落とし所があの文言だったのではないかと考えるファンもいました。とりあえずの解決策として、レコード会社が“大人の対応”で収拾に乗り出したのだろうと。    それゆえに彼らは炎上当初から冷静でした。“さすがにヘルプマークと赤十字のパロディはまずい”とか、“彼女の曲は好きだったけど、コロナ下のライブ開催など肝心なことで黙るのは格好良くない”といった声が大半だったのです。  アーティスト自身よりもファンの方が表向きのパフォーマンスと公的な常識の使い分けを柔軟にとらえていたのですね。  同様に椎名氏にもビジネスライクなスマートさを期待していたところ、いつまで経っても“肝心なこと”について何の考えも明かしてくれない。そんな幼稚さが露呈してしまったので、急速に冷めてしまったというところなのではないでしょうか。
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