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コンビニのレジでたくさんの「“ありがとう”を言ってもらえる」アバター接客の嬉しい誤算

アバター接客の難易度

グリーンローソン

店の外に面したアバターもいるため、通りすがりで『なんだあれは!?』と入店する人も多いのだとか(ローソン提供写真)

開発が進み、「中の人」となるオペレーターを募集すると、400人もの応募があった。試験やオンライン面接などを経て、採用されたのは30人。しかし、ほとんど過去に実例のない「アバター接客」だ。スタッフたちは慣れるまでにかなりの時間を要したのだという。 「最初は、店頭のアバターを担当してもらいました。『いらっしゃいませ!』『ありがとうございました』などの挨拶が中心で、まずは操作やアバター接客というものに慣れてもらいました。その後、デザートコーナーでの接客に移行し、目の前を通るお客様に向けておすすめ商品を紹介したり、近くに陳列されているからあげクンをアピールしたり。  次に店頭の2か所のアバターとデザートコーナーのアバターの3つを同時に見てもらい、最終的にはセルフレジでの接客に入ってもらいました」  最も難易度が高いのがレジでのアバター接客。臨機応変な対応はもちろん、レジの操作に関する膨大なマニュアルを読み込み、理解する必要がある。現時点でスタッフ30名のうち、セルフレジに入れるのはまだ3~4人というからその難しさはかなりのものだ。

開発中の嬉しい「誤算」

月生田氏

アバター接客でローソンの事業に貢献したいと話す月生田氏

 月生田氏は「アバター接客はリアルな人間の接客とは違う不思議な存在感がある」と語る。 「まだオープンして日が浅いこともあり、スタッフが対応できなかったりわからなかったりすることもあるんです。それでもお客様は『全然いいよ』と快く許してくれて、クレームのようなものが全くない。  目の前にいるのではなく画面を通して接することでのメリットを感じています。驚いたのが、アバターに『ありがとう』と言って去っていく人が多いこと。コンビニの店舗で接客をしていてこれほどまで『ありがとう』と言われることはありませんから、スタッフのモチベーションもあがっています」  30名のスタッフは皆、「この仕事が楽しい」と口を揃えているという。だが、まだ導入しているのは1店舗ということもあり、各々がシフトを担当できるのはわずかな時間。「もっとシフトを増やしたい!」という声が後を絶たないのだとか。 「スタッフは熱意がある方たちばかり。東京・大阪・淡路島と離れた場所にいて、顔もあわせたことがないのに、その団結力はかなりのものです。スタッフ同士でチャットサービスを活用してリアルタイムでやりとりをしているのですが、自発的に『もっとこうしようよ!』と意見を交換し合っています。『アバターの背景が白だけでは寂しいからクリスマス柄の背景を作ってみたよ!』と自らのアイデアを形にしてくれるなど、積極性がすごいんです」
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コンビニの未来の可能性
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インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA

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