更新日:2023年02月24日 09:28
エンタメ

190作品が街中に。日本人がまだ知らない中東の「光の祭典」が大規模すぎる

’18年までは映画館もなかったサウジアラビア

 今、サウジアラビアが熱い。
ヌール・リヤド2022

リヤド空港に降り立つと目の前には立派なモスクが現れる

 かつて、商用ビザなくしては入れなかった国は今や、インターネットで申請すれば、ものの30分で観光ビザが発行されることをご存じだろうか? ’18年までは表立ってエンターテインメントを楽しめず、映画館もなかった国で、「サウジアニメエキスポ」が開催され、『鬼滅の刃』が流行しているというのだから、その変化のスピードは凄まじい。  ’16年に発表された石油依存脱却と経済活動強化のための構想「サウジビジョン2030」に、エンタメ・観光分野の解禁が組み込まれて以降、国家主導でエンターテイメントやアートイベントに力を入れているサウジアラビア。現在、首都リヤドと第二の都市ジェッダではそれぞれ「リヤドシーズン」「ジェッダシーズン」と称し、都市全体を数か月単位で巻き込んだ大規模なエンターテイメントイベントが毎年開催されている。「リヤドシーズン2022」では、日本の観光地を再現した大規模なパビリオン「アニメタウン」が出現するなど、サウジアラビアからの日本のアニメや漫画コンテンツに注がれる視線も熱い。

サウジアラビアが国の威信をかけた光とアートの祭り

 今回訪れた、光の祭典「ヌール・リヤド2022」も前述の「リヤドシーズン」「ジェッダシーズン」と同様に政府肝いりの変革の一つ。’21年に第1回が開催されたこのアートフェスティバルは、’22年11月3日から19日までの街全体の展示に加え、併設の展示会も含めると’23年3月10日まで続く。世界でも類を見ないほどの大きなアートフェスティバルだ。
ヌール・リヤド2022

「ヌール・リヤド2022」のマップ。地図上では遠くなさそうだが、甘く見ることなかれ……

 リヤドに設けられた5つの拠点を中心とした合計40か所に世界中から集まった130を超えるアーティストによる190もの作品がちりばめられたこの規模感は圧巻の一言。  5つの拠点にまとめられてはいるものの、とにかく一つ一つの会場のスケールが大きい。観光客の移動にはUberがマストなので、イメージとしては東京都全体に散りばめられたアート作品を公共交通機関なしで見て回るようなものかもしれない。限られた旅行の期間中にリヤド全体に散りばめられた作品を網羅するのはとにかく至難の業だ。「ヌール・リヤド2023」に訪れる場合は事前に必ず見たい作品を絞ってから行くことをオススメしたい。
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中東の街を彩った6組の日本人アーティスト
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