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「60歳から派遣社員」になるのが、実は狙い目なワケ

派遣からあっという間に正社員転換した60代

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 二人目の事例は、人材を求める企業側が能力を見極めたいために派遣での人材確保を希望したパターンだ。  60代のBさん。結論から言うと、Bさんは2カ月程度の短期間で正社員に切り替わった。  Bさんが勤めるようになった職場は税理士法人で、Bさんは税理士資格を持っていなかったが、長年税に関わる仕事をしてきた経験と知識があった。そうした経験・知識もさることながら、この企業のトップはBさんの真面目で意欲的な仕事ぶりや姿勢を高く評価し、短期間で正社員に転換したのだった。  Bさんを派遣から正社員に切り替えた税理士法人のように、シニア人材に関しては特に「いったん派遣で働いてもらってから、じっくり評価したい」という会社は多い。  シニア人材の場合、どうしても伸びしろではなく即戦力を期待されるため、経験・スキルは十分なのか、自社に馴染めて力を発揮できるのかをある程度見極めたいという会社のニーズも高くなる。派遣ではなく直接雇用でも、最初から正社員ではなく、パートや契約社員などから始まる場合や、半年程度といった長期の試用期間が設けられる場合も少なくないのだ。  そうしたテスト期間中で自ら辞めてしまう人も一定数いるが、評価された人材については、いつまでも派遣で下積みというわけではなく、Bさんのように短期間で正社員に転換、条件もアップされることが多い。

シニアは「派遣」の固定観念を今こそ捨てよう

 確かに年齢とともに健康面での不安も高くなり、思わぬ入院や定期的な通院など仕事を休まなければならない場面も多くなることから、もっとも身分が安定した正社員を目指したい気持ちはよく理解できる。  一方で、いくら高いスキルや経験を持っていても、ブランクが空いてしまったり、まったく違う仕事をしばらく続けてしまったりすると、それもまた就職選考時に評価を下げる要因になる。  すでに新卒で入った会社で引退までずっと勤め続けることが美徳とされた時代ではない。直接雇用でも評価が得られなければ結局、長く勤めることは叶わない。  一見、不安定さが目立ち条件も悪そうに見られがちな派遣だが、実際には直接雇用と条件に差がないか、むしろ好条件で長く働き続けるシニアも多い。  そして、派遣法には同じ事業所・同じ部署に、同じ派遣社員を派遣できるのは最大3年という、いわゆる「3年ルール」があるが、60歳以上は対象外となって何年も同じ職場で派遣の働き方ができる。これも、シニアを派遣からステップアップさせないのではなく、むしろ、シニアの安定した働き方につながっている側面もある。  派遣というだけで毛嫌いせず、自身のスキルが生かせる条件のいい仕事があるならチャレンジしてみるのも手だろう。<文/中島康恵>
50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
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